研究開発〜イノベーションストーリー〜

Innovation Story [Beauty♯07] ビューティサイエンス研究センター 萬治 愛子

肌の若々しさの鍵「女性ホルモン」の作用メカニズムに着目

2017年6月時点

女性ホルモンを活性化し美肌へ導く独自原料
「ローズリッチプラセンタ」

 肌と密接に関係していることが知られている女性ホルモン。女性ホルモンは、肌のうるおいや弾力に重要な役割を担っています。ファンケルでは、2012年から皮膚の若さの維持と女性ホルモンの機能について研究に取り組み、女性ホルモンの働きを高める独自原料「ローズリッチプラセンタ」の開発に成功しました。

肌への刺激とエストロゲン受容体の関係性に注目

 女性ホルモン(エストロゲン)は卵巣などで作られ、肌細胞に存在する「エストロゲン受容体」と結合することで体内のコラーゲンを増やし、肌にハリを与えます。女性ホルモンは老化により分泌量が減少することが知られており、これまでも女性ホルモンと似た成分が含まれる化粧品やサプリメントは存在しました。しかし、ファンケルでは女性ホルモンと似た成分を体内に増やしても、それと結合するエストロゲン受容体が減少するとその機能が発揮されないと考え、エストロゲン受容体と老化の関係を調べることから研究を始めました。
 そして、肌細胞を用いた実験から、紫外線や活性酸素の刺激がエストロゲン受容体を減少させることを明らかにしました。※図1

※図1

エストロゲン受容体への紫外線、活性酸素の影響

エストロゲン受容体への紫外線、活性酸素の影響

エストロゲン受容体への紫外線、活性酸素の影響

エストロゲン受容体への紫外線、活性酸素の影響

エストロゲン受容体への紫外線、活性酸素の影響

過酸化水素(活性酸素)、紫外線ともども肌細胞中のエストロゲン受容体の遺伝子の発現を顕著に
減少することが分かりました。

過酸化水素(活性酸素)、紫外線ともども肌細胞中のエストロゲン受容体の遺伝子の発現を顕著に
減少することが分かりました。


つまり、老化した肌では加齢により体内の女性ホルモンの分泌量が減少するとともに、紫外線などの肌ストレスによりエストロゲン受容体が減少してしまい、ただでさえ少ない量の女性ホルモンをうまく使用できていないと考えられます。そして、若い人の肌でも同様に肌ストレスによりエストロゲン受容体が減少することで、体内にある女性ホルモンを効果的に利用できていないことも考えられます。また、女性ホルモンだけでなくエストロゲン受容体自体も肌細胞において、発現量の低下がコラーゲンの減少を引き起こすことも明らかになりました。そこで、ファンケルはエストロゲン受容体を活性化させることがアンチエイジングには重要だと考えました。

ダマスクバラエキスに
高いエストロゲン受容体活性化作用を発見

 一般的に女性ホルモンは、動物の胎盤(プラセンタ)に多く含まれていることが知られています。ファンケルは植物にも同じような働きがあるのではないかと考え、動物の胎盤にあたる植物のめしべにある胎座に着目しました。また、エストロゲン受容体は活性酸素により減少することから、抗酸化作用を持つ花びらにも着目しました。※図2

そして、植物の中でも胎座の部分が大きいことで知られるバラ科の植物を比較検討した結果、たどり着いたのが「ダマスクバラ」です。紀元前1000年頃から栽培され、アロマオイルや生薬の原料として使われる「至高のオールドローズ」とも呼ばれるダマスクバラの花びらと胎座から抽出したダマスクバラエキスを肌細胞に添加すると、他の植物エキスと比べてエストロゲン受容体の発現量が高くなることを遺伝子レベルで発見したのです。※図3

※図2

ダマスクバラの花びらと胎座

ダマスクバラの花びらと胎座。

※図3

エストロゲン受容体に対する
バラ科植物の影響

エストロゲン受容体に対するバラ科植物の影響

バラ科植物エキスの中でもダマスクバラエキスにおいてエストロゲン受容体の遺伝子の発現を顕著に増加することが分かりました。

 エストロゲン受容体には、細胞表面の膜上に存在して素早く作用するGPERと細胞内に存在してゆっくりと作用するERの2種類があります。※図4 ダマスクバラエキスはその両方に効果を発揮することから、即効性と持続性を兼ね備えていることもわかりました。ERだけでなくGPERにも着目したのは、ファンケル独自の発想です。

※図4

女性ホルモンの生理活性のメカニズム

>女性ホルモンの生理活性のメカニズム

>女性ホルモンの生理活性のメカニズム

ハリと弾力のある肌に導く「ローズリッチプラセンタ」

 ダマスクバラエキスは、その後の研究により肌の弾力に大きく関わるコラーゲンの合成を高めることも確認され※図5、エストロゲン受容体を活性化させることがハリと弾力のある肌に導くことが示唆されました。

 本エキスは「ローズリッチプラセンタ」と名付けて、現在、アンチエイジング製品に配合しています。「ローズリッチプラセンタ」配合製品はヒトの試験でも高いアンチエイジング効果を確認できております。
ファンケルが開発した独自原料「ローズリッチプラセンタ」。このエキスのエストロゲン受容体への作用は学会発表・特許出願を行っている、まさにファンケルの技術力が詰まった原料です。

 エストロゲン受容体の量を保つことは加齢により減少する女性ホルモンの機能を最大に活用し、女性ホルモンの持つ作用であるコラーゲンやヒアルロン酸の維持につながります。
 この「ローズリッチプラセンタ」には今回発見したエストロゲン受容体の活性化作用に加え、他にもさまざまな効果があると期待しており、今後もさらなる機能を明らかにすべく研究を続けていきたいと考えています。

※図5

ダマスクバラエキスによる
コラーゲン合成への作用

ダマスクバラエキスによるコラーゲン合成への作用

ダマスクバラエキスは顕著にコラーゲン合成を増加することが分かりました。

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