研究開発〜イノベーションストーリー〜

Innovation Story [Health♯04] 発芽玄米の研究開発 機能性食品研究所 長谷川 誠

日本の主食をイノベーション 〜健康な食生活を発芽玄米で実現〜

2016年7月時点

お米を食べるだけで健康に

 「医食同源」と言うように、健康長寿を実現する鍵は毎日の食事にあります。われわれ日本人の主食は「お米」です。その主食である「お米」を食べるだけで毎日の健康維持ができてしまう、そんな夢のような話を実現するためにファンケルでは、「発芽玄米」の研究開発に取り組んでいます。

栄養価が高い一方で食べにくかった玄米

 玄米は、白米に比べて栄養価が高く、体に良いと言われていますが、食べにくい食感や炊飯の利便性の悪さなどが要因で、敬遠されがちです。そこで現代の食生活の主食は、精米技術の向上により炊飯や食感に影響を与えていた玄米のぬか層のみを削った「精白米」が中心となっています。
 しかしながら、玄米の「ぬか(糠)層」は「米の健康」と字のごとく、健康に欠かせない栄養素が豊富に含まれています。ファンケルでは、この玄米の高い栄養価に着目しました。
栄養価をより高めることや玄米の「不」の要素であった炊飯の利便性の悪さや食べにくい食感を改善するための研究、さらには、「玄米はなぜ体に良いのか」を科学的に解明する研究に取り組み始めたのです。

美味しさと機能性の両立

 ファンケルでは、玄米の栄養価を活かし、かつ高めることができる発芽玄米に着目しました。発芽玄米は、玄米をわずかに発芽させたことで、栄養価と甘みが増し、食感が柔らかくなるといったメリットがあります。その反面、発芽を促すために水に浸漬することで米に無数のヒビ割れが生じ、それが食感の硬さやボソボソ感の原因になることや、豊富な栄養素を蓄える米ぬかを水に浸すことで雑菌が増え、味や風味を損なうことが課題でした。
 ファンケルは、これらの課題点を解決するために、発芽玄米の新しい製法を作り出すことに取り組みました。

 試行錯誤の結果、それまでのように発芽させるために玄米を水に浸漬するのではなく、シャワーのように玄米に水を浴びせながら発芽をさせる新製法を開発しました。
 この新製法で、発芽玄米のメリットである高栄養価や甘味を保ちながら、食感を損なう原因となるお米のヒビ割れがなくふっくらと炊き上がり、独特のプチプチ食感を実現しました。風味を損なう原因となる雑菌の繁殖を防ぐことにも成功したのです。※写真1

※写真1

浸漬製法

胴割れが多く、ボソボソ感、硬さの原因に。菌の繁殖により異臭が強い。

ファンケル製法

胴割れが少なく、粒立ちとふっくら感を実現。

 この製法では、発芽玄米に豊富に含まれるGABA(ギャバ)などの栄養素が、水に溶け込んで流れ出てしまうことなく、美味しさと栄養素のバランスが一番良いところで発芽ができるように調節できるといったメリットもあります。

 この製造方法はファンケルの特許となり、平成16年(2004年)には食のアカデミー賞と称される「安藤百福賞(あんどうももふくしょう)」を受賞しました。

 さらにファンケルは、なぜ発芽玄米が体に良いのかを科学的に研究しました。発芽玄米には、GABA(ギャバ)や食物繊維が豊富で、高血圧の改善やリラックス効果、お通じに良いことは予想できましたが、研究を重ねていくうちに、血糖値の上昇抑制作用※図1、血圧低下作用※図2、便通の改善作用※図3、肌のコラーゲン量の増加作用※図4などがあることを臨床試験で証明し、学会や論文で発表しました。実際に発芽玄米を摂ることで、人体にこれらの効果があるということを研究で証明できたのは、ファンケルだけです。

※図1

メタボ検査項目 血糖値

「健常者の食後血糖に対する効果」Yokoyama et al. , The Journal of  Medical Investigation 52,159-164 , 2005より抜粋
方法:平均年齢29±1歳、BMI21.4±0.8kg/m2の健常な男性12名と女性7名、炭水化物50gを含む白米、玄米、発芽玄米を摂取し、食後血糖を測定。試験食は各自ランダムに選び、異なる日に摂取。

発芽玄米の摂取は、白米摂取に比べて健常者の食後血糖値の上昇を抑える。

※図2

メタボ検査項目 血圧

喜瀬ら,フードスタイル21,8(2),54-57,2004より抜粋
発芽玄米または白米の加工米飯を一日240gを正常者5名の男性、軽症血圧者7名の男性、8週間摂取していただき、介入前後の血圧を比較。

発芽玄米を摂取することにより、血圧に改善が認められた。

※図3

便通の改善

許ら, 日本栄養士会雑誌, 51(2), 22-28, 2008
方法:台湾の健康な20歳代女子学生7名と男子学生2名に、各米飯165gを7日間提供し、副食は自由摂取させた。同一被験者に全試験食を摂食させる無作為割付クロスオーバー法試験。スタート食品で3グループに分けた。

発芽玄米を食べると、便通が改善する。

※図4

肌のコラーゲン量の変化

頬(●)と腕(□)のコラーゲン量の変化(n=27)mean+SD *p<0.05 **p<0.01 川名ら, 日本食生活学会誌, 16(2), 108-113, 2005
方法:19.8±0.5歳の女子大学生29名に、発芽玄米加工米飯160gを毎日2パックずつ8週間摂取させ、肌のコラーゲン量を測定した。

肌のコラーゲン量が増加する。

 またファンケルは、発芽玄米に含まれる「PSG(an active ingredient of Pre-germinated brown rice, the Acylated Steryl Glucoside fracrion)」という成分も発見。PSGはコレステロールのバランスを整えることで血管を若くしなやかに保ち、血管の詰まりなどが原因となる動脈硬化の予防が期待できる成分であることがわかりました。PSGは、発芽玄米に0.02%しか含まれず、抽出が非常に難しい希少成分でした。5年間にわたる研究開発の結果、ようやく米ぬかからPSGを抽出、濃縮する製法の開発に成功し、サプリメントの原料として使用されています。

より食べやすく、より高栄養価な発芽玄米へ

 食事は「医食同源」である一方で「偏食病源」でもあります。偏った食事による足りない栄養素を、サプリメントだけで摂取するのでは非効率です。まずは、毎日の食卓に登場する主食に「発芽玄米」を取り入れ、バランスの良い食生活をすることが健康的な生活への第一歩であるとファンケルは考えています。
 そして発芽玄米を毎日の食事に取り入れていただくためにも、より美味しく、より栄養価を高めるための製法の改良やお米の品種の検討、より身近にお召し上がりいただくための加工食品や調理法の開発などの技術開発に日々取り組んでいます。

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