研究成果

新規化合物「トレハンジェリン」にコラーゲン分解促進因子「CYR61」の抑制機能を発見

POINT

  • ■トレハンジェリンは2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した北里大学 北里生命科学研究所の大村智博士が放線菌産生物から見出した「新規トレハロース化合物」です。
  • ■学校法人北里大学との共同研究により、トレハンジェリンがコラーゲン合成促進作用に加え、コラーゲン分解促進因子「CYR61(※1)」の発現を抑制することを発見し、新たな抗シワ機能成分としての可能性を見出しました。

 トレハンジェリンは、キンギンソウの根から分離された放線菌が作り出す新規化合物で、化粧品に広く用いられているトレハロースを母格とし、天使のハーブとも呼ばれるセイヨウトウキに含まれる成分「アンジェリカ酸」が結合した構造をしています。ファンケルでは、北里大学と共同研究でトレハンジェリンについて、化粧品機能成分としての可能性を検討してきました。

 紫外線や加齢により老化した皮膚では、コラーゲン合成能の低下に加え、コラーゲン分解酵素の増加によるコラーゲン線維の減少や、エラスチンの変性などにより皮膚弾力性が低下することが知られています。皮膚弾力性向上のためには真皮の恒常性を保つことが重要であると考えられます。我々は皮膚における抗老化作用のひとつとして、コラーゲンの合成と分解におけるトレハンジェリンの作用を評価いたしました。

 まず、正常ヒト皮膚線維芽細胞にトレハンジェリンを添加しコラーゲン量を測定したところ、トレハンジェリンによりコラーゲン合成が促進されることがわかりました(図1)。

 次に、三次元培養皮膚モデル(※2)にトレハンジェリンを添加したところ、トレハンジェリン添加により、「CYR61」発現抑制効果が示されました(図2)。「CYR61」は紫外線や加齢で増加し、コラーゲン合成を抑制し、コラーゲン分解酵素MMP1を誘導し、コラーゲンの減少を引き起こします。本実験においてもトレハンジェリンによりCYR61が減少するとともにMMP1の減少も見られました(図3)。

 本研究より、トレハンジェリンは真皮のコラーゲンの産生を促進するとともに、その分解促進因子「CYR61」を抑制することから、皮膚老化における真皮コラーゲンの減少に対して、その合成促進・分解抑制の両面からのアプローチする、新たな抗シワ成分としての可能性が期待されます。

用語解説

※1 CYR61

Cysteine rich protein の略。CCNファミリーに即する細胞外分泌タンパク質で、細胞接着、遊走、血管新生に関与しています。また、紫外線や加齢により増加し、コラーゲン合成の抑制、MMPを誘導することが知られています。

※2 三次元培養皮膚モデル

皮膚を構成する細胞を培養して作った、三次元構造を有する人工皮膚モデルです。皮膚に対する薬剤の効果や毒性、浸透性などの評価に広く使われています。

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