研究成果

アスコルビン酸の消化管滞留技術、
徐放性顆粒製剤を開発

機能性食品研究所 中村 達雄
ヘルスサイエンス研究センター 串岡 拓也

POINT

  • ■アスコルビン酸(※1)をヒアルロン酸と組み合わせることで体内に留め、吸収力を向上させる可能性を長崎国際大学との共同研究により見出しました。
  • ■アスコルビン酸を6時間以上にわたり、常に一定量放出し続ける顆粒製剤を開発しました。

 強力な抗酸化機能やコラーゲン産生補助機能などで知られているアスコルビン酸は、美容や健康に役立つビタミンCとして食品やサプリメントに用いられるほか、医薬品まで幅広く利用されています。その一方で、体内への吸収や代謝が早いため、摂取したアスコルビン酸が体内で十分に活用されにくいという課題があります。そこでファンケルでは、これまで行ってきた徐放性(※2)製剤研究を発展させ、アスコルビン酸を消化管に滞留させる技術とアスコルビン酸を0次放出(※3)させる顆粒製剤を開発しました。

@アスコルビン酸の消化管滞留技術
 排泄されやすいアスコルビン酸の効果を十分に活用するためには徐放性だけでなく、消化管内にアスコルビン酸を滞留させることが必要とされています。
 長崎国際大学 薬学部薬学科 製剤学研究室(中島 憲一郎教授、神谷 誠太郎講師)との共同研究の結果、小腸などの消化管に付着する性質を持つヒアルロン酸(図1)がアスコルビン酸を保持することを見出しました(図2)。

 ヒアルロン酸とアスコルビン酸を複合化することで、この二つの特長を利用し、アスコルビン酸を消化管内に留め、体内への吸収力を増加させる可能性が示唆されました(図3)。

Aアスコルビン酸の徐放性顆粒製剤開発
 従来のサプリメントでは、錠剤やカプセル剤といった剤形の大きさを利用して、機能成分の徐放性を制御していました。しかし、消化管のぜん動運動や消化酵素分泌の個人差が大きく、安定した効果が得られにくいなどの課題があり、ファンケルでは剤形に依存しない徐放性製剤技術の開発を進めてまいりました。
 本技術では、増粘剤(※4)等を基剤として乾式造粒法(※5)の一種を用い、1o以下の細かな顆粒であってもアスコルビン酸の徐放化を可能にしました。
 また、溶出試験(※6)の結果、6時間以上にわたり、一定量のアスコルビン酸を放出し続ける0次放出の挙動を示すこと、配合の調整により放出速度の制御も可能であることが見出されました(図4)。

 消化管滞留技術と0次放出徐放性顆粒製剤を組み合わせる事で、新しい放出コントロールサプリメントの開発が期待されます。今後は、他の機能成分に対してのこれら技術の水平展開、ヒトでの有用性について検討する予定です。

用語解説

※1 アスコルビン酸

ビタミンCとも呼ばれる、ヒトは体内で作り出すことが出来ない栄養素。ストレス、喫煙等で失われやすいことが知られている。

※2 徐放性

薬剤学用語の一つ。機能成分をゆっくり溶け出させることで、サプリメントなどの一日の摂取回数を減らすことができる。

※3 0次放出

機能成分が一定速度で放出され続けること。放出コントロール型製剤の目標の一つと言われている。

※4 増粘剤

食品に粘りを与えるための添加物のことで、多糖類やタンパク質等が主に使用される。

※5 乾式造粒法

顆粒を作るための製剤技術の一つ。液体を使用しないことが特徴で、液体への安定性が低い機能成分などに利用される。

※6 溶出試験

医薬品の規格基準書「日本薬局方」に記載された試験法。製剤からの機能成分の溶出速度などを試験する。

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