研究成果

皮膚弾力性の角層バイオマーカー KLK7

ビューティサイエンス研究センター 鈴木マリアンナ由乃

POINT

  • ■角層の生まれ変わりに関与するタンパク質「Kallikrein-7」 (以後KLK7と表記) が、皮膚の弾力性と関連性があることを見出しました。

 ファンケルでは、シワ、シミや乾燥などの皮膚の老化兆候と関係する角層中のタンパク質を探索し、一人ひとり異なる肌特徴を現す「角層バイオマーカー」の開発を進めてまいりました。肌に貼ったテープ1枚から測定できる本解析手法は、店頭だけでなく通信販売を通した肌カウンセリングにおいて、本当に必要なお手入れ方法のご提案や、テーラーメード型美容液「スキンソリューション」のご提供に活用してまいりました。

 シワ、シミだけでなく、お肌のたるみ(弾力性の低下)は、女性が気になる肌悩みのひとつ。そこで、「ほうれい線のたるみ」として顔に顕在化する前に、肌内部で起こる肌の弾力の低下を知ることのできる「角層バイオマーカー」の探索を目的として、弾力性と関連する角層中タンパク質の探索を始めました。

 まず、20代〜60代女性151名の頬の弾力性を弾力計により測定しました。その結果、年齢とともに弾力性は低下し、特に50代以上では全体的に低くなる傾向でしたが、20代〜30代の若い方でも弾力性の低い方がみられることが分かりました。※図1:○印  また、数百種ある頬の角層のタンパク質の中から、弾力計の測定値と相関するタンパクを探索した結果、角層の生まれ変わりに関与することで知られるタンパク質 「KLK7」を見出しました。※図2

 続いて、KLK7が皮膚の老化に関係するかどうかを確認するために、表皮を構成する表皮角化細胞※1と、真皮を構成する線維芽細胞※2 を用いて実験を行いました。KLK7の発現を制限した表皮角化細胞と制限していない通常の表皮角化細胞で、基底膜を構成するタンパク質「ラミニン332」及び「4型コラーゲン」の発現量を比較しました。その結果、KLK7 の発現を制限させた細胞では、これらのタンパク質の発現量が低く、KLK7 が、加齢によって減少する基底膜タンパク質の維持に関わることが推測されました(各タンパク質の発現量は、KLK7 発現を制限しない場合を1 とした時の比率で表示)。※図3 さらに、線維芽細胞にKLK7を添加して培養したところ、真皮の弾力維持に関わるタンパク質の1つであるエラスチンの量が増加し、弾力に関係するタンパク質の発現にも影響を与える事が分かりました。※図4

 以上の結果より、KLK7が基底膜を構成するラミニン332や4型コラーゲン、及び真皮を構成するエラスチンの合成に影響を与え、若い肌を維持するのに関わることが分かりました。そこで、皮膚中KLK7量を増加させるアンチエイジング成分の探索を行いました。その結果、酵母抽出液及びイノシトールが、表皮角化細胞のKLK7量を増加させる成分であることを見出しました。※図5

 これらの研究により、KLK7が基底膜及び真皮を構成するタンパク質の合成に影響を与え、皮膚の弾力性維持に影響を与えることが示唆されました。またKLK7量を増加させるアンチエイジング成分として酵母抽出液とイノシトールを見出しました。これらの成果を元に、20代女性の40%以上が肌悩みとして挙げる「ハリやたるみ」の低下に対する新しいスキンケア化粧品の開発へ応用したいと考えています。

用語解説

※1 表皮角化細胞

表皮を構成する細胞で角層となる細胞

※2 線維芽細胞

真皮を構成するコラーゲンやエラスチンなどを生成する細胞

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