研究成果

グレープフルーツ果実エキスに
皮膚のバリア機能改善作用を発見

ビューティサイエンス研究センター 桜井 哲人

POINT

  • ■ビタミンD受容体※1は、紫外線や活性酸素によって機能が低下し、皮膚のバリア機能の低下につながることが分かりました。
  • ■グレープフルーツ果実エキスは、低下したビタミンD受容体を活性化させて発現量を増やし、皮膚バリア機能の改善に効果を持つことが示唆されました。

 ビタミンDは、表皮細胞※2の分化促進や増殖抑制など皮膚のターンオーバーやバリア機能に重要な役割を担っていることが知られており、当社ではそのメカニズムについて2015年より研究を行っています。ビタミンDは皮膚細胞内に取り込まれるとビタミンD受容体(以降、VDRと表記)と結合して皮膚機能を維持するための様々な遺伝子の発現を高めます※図1。つまり、ビタミンDの働きはVDRを介して発揮されるため、当社ではVDRがビタミンDの働きに重要な役割を担っていると考えVDRと表皮細胞におけるバリア機能との関連性について研究を進めました。

 種々の植物エキスの中から、グレープフルーツ果実のエキスにVDRを介して、皮膚のバリア機能の改善作用を発見しました。
なお、本研究結果は、2017年3月25日から27日に開催された日本薬学会 第137年会(於:仙台)で発表いたしました。

<外的要因によりVDRの機能が低下する>

 皮膚内にあるVDRの機能について、表皮細胞を用いて紫外線(UVB)や活性酸素(過酸化水素)などの外的要因による影響を測定しました。その結果、紫外線や活性酸素によってVDRの発現量が低下して機能が低下することが分かりました※図2

<VDRの機能低下がバリア機能を低下させる>

 VDRの機能低下が肌にどのような影響を与えるかを検討するために、VDRの機能を低下させた表皮細胞を作成し、バリア機能に関連する遺伝子の発現量を測定しました。 VDRの機能を低下させていない細胞と比較すると、フィラグリン、トランスグルタミナーゼ、カリクレイン7、ABCA12、アクアポリンなど、皮膚のバリア機能に重要なタンパク質の遺伝子発現が低下していることがわかりました※図3。これらの結果から、VDRの機能の低下は皮膚のバリア機能の低下につながることが示唆されました。

<グレープフルーツ果実エキスがVDR機能を高めバリア機能を改善する>

 バリア機能を高めるためには、VDRの機能を高めて発現量を増やす必要があると考えました。今回、柑橘類の果実に着目し、表皮細胞に数種の柑橘類エキスを1%添加し、VDRの発現量を増やす成分の探索を行った結果、グレープフルーツの果実から抽出したエキスに、VDRの発現量を増やし、さらに、未成熟な段階の活性化作用があることを発見しました※図4

これらの結果よりグレープフルーツ果実エキスは、外的要因などで低下したVDRを活性化させて発現量を増やし、皮膚バリア機能の改善に効果を持つことが示唆されました。

用語解説

※1 ビタミンD受容体

細胞内にあり、ビタミンDと特異的に結合して生理作用を発見する機能を持つ。

※2 表皮細胞

表皮を構成している細胞。表皮は皮膚の一番外側に位置し、外部からの異物の混入の阻止や体内の水分を維持するバリア作用を持つ。

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