ファンケルレポート 2020
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ことで、さまざまな応用ができるという確かな手応えを感じています。実際に、今後の高齢化社会に向けた「脳機能の維持」といった分野では双方のこれまでの技術・知見を共有しながら、製品化に向けて共同研究を進めています。見え始めた成果、そして課題すでに、化粧品と健康食品に関する10以上のテーマについて共同研究プロジェクトを進めています。直近の大きな成果の一つとして、キリンの保有する「白麹菌に含まれる成分」をファンケルで評価実験を行ったところ、優れた美容効果があることがわかりました。これを化粧品に応用すれば、画期的なアンチエイジング化粧品が開発できると期待しています。その他にもキリンに提供してもらったさまざまな素材が化粧品や健康食品に応用できそうです。また、逆に、ファンケルの技術をキリンの製品に応用することもできると思います。一方で今後の課題としてあげられるのは、研究の方向性や考え方などの概念的な意識の統一だと思います。両社ともこれまで歴史を通じて受け継がれてきたDNAがありますから、それぞれの個性を活かしながら、いかに融合を図っていくか。これから互いの研究開発や風土に対する一層の相互理解を進めていく必要があります。そのためには積極的な人材交流も重要ですね。研究者というのは、資質として、近くに優れた研究者がいると、その技術・知識を自分の中に取り入れようとします。そこに技術の融合と革新が起こります。すでに、同じ研究テーマに係る研究員同士で有意義な意見交換もされており、お互いに高め合おうとする機運が高まっています。それに加え、切磋琢磨するような競争的な交流も重要だと思います。例えば同じ研究テーマでのコンペティションを実施し、健全な競争心を高めることで、双方の技術力を飛躍的に向上させることもできるのではないでしょうか。未来のビジョン「世の中をもっと健康にしていきたい」という想いは両社に共通しています。「人生100年時代」という超高齢化社会において、高齢者のQOLを高めるような製品や、生活習慣病予防や認知症予防、免疫力向上のための技術の開発といったテーマに対し、力を合わせていきたいと思います。一方で、すぐには製品という形で表れなくても、互いの技術を組み合わせてみることで、世間をアッと驚かせるようなものができるのではないか、という期待もあります。本当にワクワクしています。両社のシナジーには大きな可能性を確信しています。研究開発は、取り組んでいる多くのことが日の目を見ることがない厳しい世界です。しかし、無数の失敗の中に必ず世界を変えるイノベーションの種が隠れています。この種を見出し、発芽させるための仕組みづくりに注力していきたいです。ともに目標を高く掲げ、ゆくゆくは世界中から優秀な研究者が集まってくるような魅力的な研究機関を両社で目指していきたいですね。未来に向けて、是非一緒にイノベーションを起こしていきましょう。キリンホールディングス株式会社R&D本部長高見 義之健全な競争心を高めることで、双方の技術力を飛躍的に向上させることもできる炭田炭田炭田炭田高見高見高見30

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