ファンケルレポート 2021
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素材の力を活かすキリン中央研究所ではキリンが強みとする発酵技術を活かして、白麹菌中の有効成分「麹ステロール」を大量生産する技術を開発しました。その「麹ステロール」を化粧品へ配合するにあたり、白麹エキス開発において共同で数多くの検討を重ねることで、化粧品の開発に至ることができました。今後さらにキリンの独自素材「麹ステロール」を配合した化粧品の製品拡大を目指すとともに、今回の連携を皮切りに共同研究が益々発展することを期待しています。両社の力が結合白麹菌に含まれる「麹ステロール」は多くの有効性が確認された魅力的な成分でしたので、美容目的の製品に応用したいと考え、さらなる肌質改善効果の解明と原料化を目指し、共同研究をスタートしました。美しい肌に関わる「アルギナーゼ 1」を増やすことを確認し、原料としての開発も進み、独自の成分として2021年秋にリニューアルする化粧品への配合も検討しています。両社のこれまでの研究成果を共有し、協働することで効率的に新たな価値創造を目指していきます。2019年の資本業務提携を契機に協働し共同研究を始めています。キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)では、従来より自社が保有する「白麹菌」に含まれる「麹ステロール」に、経口摂取で高い肌質の改善効果があることを確認していましたが、どのように肌に働くかというメカニズムは未解明でした。そこで、この「麹ステロール」の肌質改善に関するメカニズムの解明と皮膚への効果を視野に入れ共同研究を始めました。ファンケルでは、従来から皮膚表面に多く存在する「アルギナーゼ 1」が、角層の保湿機能や肌の酸化、糖化の制御に関わり、肌の明るさやシワなど美肌に導く重要なタンパク質であることを確認しています。このタンパク質に着目し、「麹ステロール」の評価を行いました。培養したヒト表皮角化細胞に添加し、「アルギナーゼ 1」の量を測定。その結果、「麹ステロール」を添加していキリンHDとのシナジー発揮に向けた取り組み白麹由来ステロールない細胞のコントロールと比較して「麹ステロール」 を添加した細胞は、「アルギナーゼ 1」の増加を確認しました。「アルギナーゼ 1」は、皮膚の保湿機能、酸化や糖化を制御する機能など、老化による皮膚機能の低下を正常化する働きがあり、美肌タンパクといわれています。「アルギナーゼ 1」を増加させることで従来の対処的なエイジングケアではなく、肌に対して根本的なアンチエイジング効果のあるオールマイティーな成分としての働きを期待できます。今後、機能研究をさらに進め、アンチエイジング機能を期待した化粧品や日やけ止めなど幅広い製品への応用が検討されています。共同研究事例キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所 杉原 圭彦総合研究所 ビューティサイエンス研究センター 皮膚科学第一G 榎本 有希子キーパーソンメッセージ杉原 圭彦榎本 有希子「アルギナーゼ 1」の皮膚内の機能アルギナーゼ 1酸化調整抗炎症・抗老化24

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