ファンケルレポート 2022
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142019年8月、キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と資本業務提携を行いました。特にR&Dの現場では、従業員同士の自然発生的な交流も生まれ、非常に良い関係で相互理解が深まっています。その中で、2021年度には、キリングループの協和発酵バイオのオルニチンを配合した「睡眠&疲労感ケア」を発売しました。さらに、キリンと共同研究して化粧品原料化した「熟成ホップエキス」を配合し、「マイルドクレンジングオイル」の機能アップを図りました。このようにさまざまな分野でシナジーを生み出せたことは、資本業務提携の意義をステークホルダーの皆様に示せた点でも大きな意味がありました。また、2021年4月に稼働を開始した新サプリメント工場では、キリングループの製品の生産を請け負うなど、生産面での協力体制も生まれています。販売面では、D2Cのノウハウの点で高い評価をいただき、キリンに人材を派遣しました。キリン社内では、ファンケル従業員がとても活躍しており、人材の継続的な派遣を望まれています。こうした交流は、従業員の成長の機会や自信につながり、相互に大きなプラスとなっています。私はかつて、ファンケルがこの先もずっと成長を続けるために、私の代で積み残してきた課題や構造的な問題をすべて解決し、次代に引き継ごうと思っていました。しかし、時代の移り変わりは激しく、未来の問題に立ち向かうのは未来の人であり、今できることは人を育てることだと、特にコロナ禍の2年目になって痛感しました。こうした思いもあって、今年から、社員教育のための人材投資を大幅に増やしました。若手のデジタル人材やグローバル人材の育成はもちろんのこと、「ダイバーシティ&インクルージョン」の観点からも、女性のシナジー製品横浜市立東高等学校サステイナブル研究部とパッケージデザインを共同開発した限定洗顔パウダー活躍をさらに後押しし、シニアやベテラン層には学び直しの機会を設けます。そして2022年1月、次世代経営層の育成を図ることを目的に、大規模な組織改正・人事異動を実施しました。これまで当社は、ジョブローテーションが少ない傾向にありましたが、さまざまな分野の経験を積み、多角的な視野を持って判断する必要のある次期経営層を育成するという観点においては不十分だったため、今回は役員・部長職を中心に異動を行いました。こうした一連の人材戦略は、これからのファンケルのために絶対に必要なことだと確信していますし、今後も積極的に実行していきます。そして、ファンケルらしいSDGsの取り組みとして「化粧品の容器回収リサイクル」では、リサイクル工程以外、すべてを自前で対応する仕組みを構築しています。将来的には、キリンと協業し、ケミカルリサイクルにより化粧品の容器から容器へ再生する水平リサイクルを実現し、「プラスチックが循環し続ける社会」へ向けた取り組みにも挑戦していく計画です。容器回収用BOX❺キリングループとのシナジー創出❻人材育成と人材活用❼サステナブルな事業推進と永続的なSDGs貢献2021年5月に3つの重点取り組みテーマを掲げ、定量目標を設定し、全社一丸となって具体的なアクションを進めてきました。現在、優先して取り組んでいるのは「サステナブルな容器包装化」と、「化粧品の容器回収リサイクル」です。当社には、世の中のためになり、人を喜ばせたいという意識が根本に存在します。例えば、容器の回収についても、企業として当たり前のことをしているだけです。現在、その重要性をこれまで以上にしっかりと社内で浸透させ、取り組みを進めています。

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