社外役員メッセージ

サステナビリティへの取り組みを
さらに推し進めることを期待します

南川 秀樹

プロフィール
1974年4月 環境庁入庁
2011年1月 環境事務次官
2013年7月 環境省顧問
2014年6月 一般財団法人日本環境衛生センター理事長(現任)
2017年6月 当社社外監査役(現任)

全社に主体性が備わり、第二の創業という機運が高まる

今般、ファンケルは、長期ビジョン「VISION2030」の実現に向け、新中期経営計画を発表しました。2019年に創業者の池森氏が退任したため、今回の計画は、絶対的なカリスマの声が無い中で策定することになりました。それゆえ、取締役をはじめ従業員一人ひとりが、ファンケルの将来を「自分事」として捉え、会社の目指すべき姿と、自分自身がどのような点で貢献できるかをしっかり考え、議論したように感じます。全社が力を結集し、未来を切り拓く姿勢への変化は、まさに第二の創業のような印象を受けています。
社内に主体性が備わってきたことで、新分野へもどんどん取り組んでいこうという機運が高まってきています。その証しとして、化粧品事業では、新会社で新ブランドを立ち上げ、ファンケルブランドだけに頼らないという動きも活発化していますし、健康食品事業も、少子高齢化や共働き世帯の増加によるニーズに対応した製品展開を積極的に進めています。
一方で、今後の課題として感じていることが、国内でのプレゼンスの確立や、海外での飛躍に向けた基盤となる人材の育成です。将来の役員候補者はもちろんのこと、海外の実務責任者など、人材の層をより一層厚くし、事業や領域の急激な拡大にも備え、機動的に動ける体制づくりが必須であると感じています。また、若手にどんどんチャレンジできる機会を与えるとともに、失敗もちゃんと経験させ、10年後、20年後にファンケルの屋台骨となる存在を増やしていかなければなりません。今後のファンケルの人材育成方針、施策には大いに期待しています。

環境対応が競争力となる

ファンケルでは、2018年に「ファンケルグループ サステナブル宣言」が策定され、環境などへの貢献と、SDGsに対する明確な対応が示されました。さらに、2020年には「SDGs推進室」が新設され、従業員への啓発活動や、開示資料の充実によって、環境問題の解決に向けたコミットメントがより鮮明になってきています。また、具体的なKPIとして、2050年度までにCO2排出量実質ゼロを目指している点も評価しています。さらに昨年はTCFD※に賛同を表明し、ますます世界中で深刻化する気候変動に対するリスク分析も進めています。
今まさに、サプライチェーン全体の省エネ化や、環 境負荷の少ない製品を生み出す力が、企業の競争力と なる時代を迎えています。ファンケルでも、その認識 は浸透してきており、商品企画や開発には、環境配慮 をテーマにした製品が増えています。今後は、広告や SNSなどのプロモーションの分野でも、これまで以上 にアピールしていくべきだと思います。外に対して、 はっきりとした意志を示すことで、さらに内部でも環 境対応への意識が高まり、良い相乗効果が生まれることを期待しています。
また、役員報酬においては、「CO2排出量」、「従業員 エンゲージメント」、「お取引先様評価」の非財務指標 の達成度を報酬に連動させる制度を導入しました。こ れは、単に売上、利益を上げることだけが取締役の役 割ではなく、中長期的に環境、社会にもしっかり貢献 できる経営を行うべきというステークホルダーの要請 にも応えるものだと考えています。

気候関連財務情報開示タスクフォース

経営トップに期待する資質

私の考えるトップに必要な気質は、明るくて、心身 ともにタフであり、たとえ失敗したとしても、反省し 次に活かせるメンタリティを持っていることです。こ うした気質を持つ人間は、厳しい環境の中でも、決し て諦めることなく、なにかしらの打開策を生みだせる 突破力があります。私は、これまで多くの経営者と関 わってきましたが、このタイプのトップは、「この人と ともに戦いたい」と従業員に思わせる魅力があり、組織 としての団結力を高め、企業価値を大きく向上させる ケースが多いです。それに加え、現場主義であること も、重要な点です。机上の理論だけで、優れた経営は行 うことはできません。実際に現場に足を運び、従業員 の思いや苦労に共感するとともに、最前線で起こって いるリアルな課題に向き合うことが大切なのです。現 在ファンケルの経営トップである島田社長に関して は、これらの資質が十分に備わっており、まさに理想 の経営者であると思います。今後は、後継者の育成も しっかりと強化していってほしいです。

最後に

ファンケルには、「不」を解消するという創業理念 が、すべての行動の根底に流れており、さまざまな世 の中の課題に対して何ができるのかをいつも考えてい る会社です。そして、幅広い知識を取り入れる勤勉さ と、ビジョン実現のために汗をかくことを惜しまない 従業員がたくさんいます。コロナ禍によって、大きな 事業環境の変化がありましたが、その経験によってさ らにレジリエントな組織になったと思います。サステ ナビリティへの取り組みをさらに推し進め、環境、社 会問題を解決するための必要な投資をしっかり行い、 その上で高い収益を安定して確保できる企業を目指し てほしいと思います。ファンケルであれば、必ずそう した企業に進化できると確信を持っており、私も社外 監査役として全力で経営をサポートしていきます。

サステナビリティ