社外役員メッセージ

高度なガバナンス体制を構築し、企業価値向上につなげる

橋本 圭一郎

【略歴】
1974年、(株)三菱銀行(現(株)三菱UFJ銀行)に入行。国内の銀行業務に加え、12年半にわたる海外駐在では国際金融業務や証券業務にも携わる。ドイツ駐在時にはユーロの決済システムの開発を指揮。その後、国内外の金融、IT等の高い知見や経験を活かし、三菱自動車工業(株)、首都高速道路(株)等、多数の企業経営に携わる。

取締役会の実効性に対する評価

当社の社外取締役・社外監査役(社外役員)は、弁護士、公認会計士、マーケティングの専門家、行政機関のOB、そして私のような企業経営者と多様なスキル・経験を持つ人材によって構成されています。取締役会において社外の役員に期待されることは、執行を担う経営陣の考え方について不足していることを意見する、一種のお目付役のような立場にあると同時に、少数株主を常に意識し、その声を代弁することだと考えています。
その役割を果たすためには、執行側から社外役員への情報共有が必要不可欠ですが、その点で、ファンケルは非常によく運営されています。工場や物流センター、研究所の視察や製品説明会など、事業を理解する機会が十分に用意されていますし、議案に関する事前説明は詳細かつ丁寧に実行されています。また、さまざまな視点から検討に時間を要するテーマについては、取締役会とは別にテーマセッションの時間が設けられ、議論を深めています。
その上で、取締役会では、議長の島田社長が出席者に発言を促し、自由闊達に議論できるよう進行されており、取締役会の実効性は非常に高いと評価しています。

社外から見たファンケルの特長

ファンケルでは、「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」という創業理念が社内全員に浸透し、皆が絶えずその実践を求められています。スキル・マトリックスのスキル項目の一番目に「経営理念の理解」が挙げられているのも、そうしたファンケルらしさの表われです。
また、役員報酬制度においては、「業績連動付与」の評価基準として財務指標の達成率に加え、「CO2排出量」、「従業員エンゲージメント」、「お取引先様評価」といった非財務指標も取り入れられています。マルチステークホルダーを意識した経営が行われている証左といえます。
研究開発力に優れていることも特長です。研究員の数や登録特許数も多く、資本業務提携先のキリンも高く評価しています。また、IT技術に関しても、ファンケルの情報システム部門の体制は、同規模の企業と比較して、質・量ともに圧倒的に充実しています。2022年初には独自の基幹システム「FIT3」が稼働し、お客様の行動からそれぞれの悩みも推測・分析できるようになり、これまでの販売スタイルを画期的に進化させるチャンスが生まれきています。これはDXそのものであり、政府が設けた「DX認定制度」において、昨年8月に化粧品会社の先発グループとして認定を受けたのは当然のことと理解しています。現在推し進めているDX戦略には社外取締役としても非常に期待しています。

グローバル戦略への期待と課題

海外で事業を拡大していくことは、今後のファンケルの成長のためには必須です。大切なことは、日本の常識が必ずしも海外では通用しないことをしっかりと認識することです。その上で、判断を間違えた場合には謙虚に、方針・戦略・戦術をすみやかに変えていく柔軟性が、グローバル事業においては特に重要です。
また、海外事業に携わる人材の確保・増強については、時間が掛かりますが、喫緊の課題として取り組むことが不可欠です。現地の運営や情報を把握するための即戦力として、外国人材を採用すると同時に、企業理念と事業を十分に理解しているプロパー社員をどんどん海外へ派遣していかねばなりません。現地で生きた体験をさせることが海外業務のプロフェッショナルを育成するためには、非常に大切です。その国の文化や風習を肌で触れることでしか得ることできないインスピレーションやスキルがたくさんあり、そこから事業の新たなアイデアや展開が生まれてくるからです。
そして近い将来、外国人や海外事業の経験者が、マネジメント層の一翼を担うようになることで、海外展開はさらに加速していくと思います。

最後に

一段と高度なガバナンスの体制を構築し、企業価値向上につなげていくためには、社外役員と執行部門の信頼関係を一層強め、意思疎通をさらに深めていくことが大切です。また、我々、社外役員は、今後、取締役会の議論が組織、現場にきちんと落とし込まれ、根付いているかも検証していかなくてはならないと考えています。
DXが推進されることで、業務が効率化され、従業員が自ら考える時間もさらに増えてくるはずです。この時間を使って、従業員には、社内の他のセクションのみならず、他の会社や広く社会に目を向けることを期待します。日本や世界の変化を感じ、ファンケルとしてできることを深く考える時、新製品や新規事業のアイデアは無限に広がっていくはずです。その結果、10年後、20年後にはファンケルは現在の化粧品や健康食品の枠にとどまらない、新しい価値を生み出す、次世代にも必要とされる企業へと変貌していると確信しています。

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