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尿中の鉄(フェリチン)と亜鉛の量が
アスリートの競技パフォーマンスと関連することを確認
― 慶應義塾体育会競走部の「パーソナルワン」による栄養サポート研究 ―

2022年10月13日PDF版はこちら

 株式会社ファンケルは、食習慣・生活習慣に関するWebアンケートと、尿中の微量栄養素1)の分析結果から、最適な栄養素をサプリメントとしてお届けするサービスとして「パーソナルワン」を提供しています。2021年度に実施した慶應義塾大学SFC研究所(神奈川県藤沢市、所長:飯盛義徳)との共同研究2)において、「パーソナルワン」を活用し、慶應義塾体育会競走部長距離ブロック選手の栄養状態と競技パフォーマンスの関連性を調査しました。その結果、10000メートル走の記録が速い選手ほど、尿中の鉄(フェリチン3))と亜鉛の量が他の選手に比べて多い傾向にあることが分かり、アスリートのコンディショニング4)に非侵襲的5)な尿検査を活用できる可能性を見いだしましたので、お知らせします。
 なお、本研究成果は、2022年9月に開催された日本スポーツ栄養学会第8回大会(於:神奈川県相模原市)で報告しました。

 当社は、引き続き慶應義塾大学SFC研究所との共同研究を行い、アスリートのパフォーマンスと栄養状態の関係の研究を通じて各選手の健康づくりをサポートしてまいります。

<研究方法・結果>

 2021年7月から9月に慶應義塾体育会競走部長距離ブロック選手28人に対し、食習慣・生活習慣に関するWebアンケートと、尿検査による微量栄養素(ビタミンB1、ビタミンB2、鉄(フェリチン)、亜鉛、マグネシウム)の測定を定期的に行いました。Webアンケートと尿検査の双方の分析結果から推定した各栄養素の充足状態を測定同様に定期的に選手へフィードバックし、不足している栄養素をサプリメントとして提供する栄養のサポートを行いました。

【体内の栄養バランスが改善】

 栄養サポートをした後、尿中のビタミンB1、ビタミンB2、鉄(フェリチン)、亜鉛量は、有意に増加していることが分かりました(図1)。従来の研究で、各栄養素の尿中排泄量が体内での充足状態を反映していることを当社では確認しています。つまりこの結果から、選手にとって不足している栄養素をサプリメントとして補うことで、体内の栄養バランスが改善することが示唆されました。

【10000メートル走記録が尿中の鉄(フェリチン)および亜鉛量と関連することを確認】

 また10000メートル走の自己ベスト記録上位11人において、記録と尿中栄養素の関連性を調査しました。その結果、10000メートル走記録が速い選手では尿中の鉄(フェリチン)と亜鉛の量が多い傾向にあること、さらに尿中の鉄(フェリチン)の量は、10000メートル走記録と有意に相関することが分かりました(図2)。これらの結果は、体内の栄養状態が競技パフォーマンスと関連することを示唆しています。

 競技パフォーマンス維持向上のためには、体内の栄養状態を把握し、適切に対処することが重要です。本研究の結果、「パーソナルワン」による栄養サポートは、アスリートのコンディショニングにとって有用である可能性が示されました。

<研究背景・目的>

 アスリートのパフォーマンス維持向上には、トレーニングと適切な栄養摂取による体調管理が大切です。陸上長距離選手では特にエネルギー消費量が高いため、それに見合うエネルギー源の摂取と効率的なエネルギー生産に必要なビタミン・ミネラルなどの栄養素の摂取が必要となります。栄養状態の把握には一般的に血液検査が用いられますが、採血は侵襲性が高く体の負担が大きいため、頻回に実施することが困難です。そこで、非侵襲的な尿検査を活用した栄養サポートを実施し、栄養状態と競技パフォーマンスの関連を調査することを目的としました。

【用語説明】
1)微量栄養素:
微量ながらも人の発達や代謝機能を適切に維持するために必要な栄養素であるビタミンやミネラル。

2)参照リリース:
「パーソナルワン」慶應義塾体育会競走部の栄養管理をサポートhttps://www.fancl.jp/news/pdf/20210805_pasonaruwan.pdf

3)フェリチン:
鉄を貯蔵するタンパク質。体内の鉄分が不足し始め、潜在的な鉄不足になると体中に酸素を運ぶ働きのあるヘモグロビンよりも貯蔵鉄である「フェリチン」の量が減少することが知られています。

4)コンディショニング:
運動競技において最高の能力を発揮出来るように精神面・肉体面・健康面などから状態を整えること。

5)非侵襲:
生体を傷つけず、負担を与えないこと。

本件に関する報道関係者の皆様からのお問合せ先

株式会社ファンケル 広報部 陣内真紀 TEL:045-226-1230 FAX:045-226-1202 /

http://www.fancl.jp/laboratory/