あなたの「ハリ肌」はどのタイプ?
曖昧だった“ハリ感”の違いを分類した新知見
「ハリ感」を表す言葉を整理・可視化、
一人ひとりに最適なスキンケア提案への応用に期待
(第27回日本感性工学会大会にて優秀発表賞を受賞)
株式会社ファンケルは、スキンケアでよく使われる「ハリ感」という言葉に着目し、その意味の違いを調べる研究を行いました。「ハリがある肌」と聞いて、多くの人が理想的な肌を思い浮かべます。しかし実際には、「ふっくら」「もっちり」「ピンとした」「うるおいのある」など、人によってイメージする“ハリ”はさまざまです。当社は、この言葉の違いが、お客様の求める肌と実際の使用感のズレにつながるのではないかと考え、研究を進めました。
その結果、「ハリ感」は少なくとも5つのグループに分かれ、それぞれが結び付く肌の質感も異なることを明らかにしました。
この研究成果は、お客様が求める“理想の肌”により近いスキンケア商品の開発や、分かりやすい製品特長の表現につながることが期待されます。なお本研究は、2025年9月17日から19日に開催された「第27回日本感性工学会大会」で発表し、優秀発表賞を受賞しました。
本研究の詳細は次ページ以降をご覧ください。
【本研究のサマリー】
• 「ハリ感」という言葉で想起する表現は1種類ではなく、少なくとも5グループに分けられることを確認
• 5グループは、それぞれ異なる肌の質感と関係していることを確認
• 今後、お客様のニーズに合った製品開発や、伝わりやすい製品特長の表現に期待される
【本研究の概要・分かったこと】
STEP1 : 「ハリ感」を形容する表現を5つのグループに分類
最初に、肌のハリ感を形容する表現を社内アンケートとインタビューにより約100語集め、「化粧品使用後のハリ感を表す言葉として適切か」を起点に、その中から代表的な29語を選定しました。それらの言葉の意味の近さを分析したところ、「ハリ感」は以下の5つのグループに整理できることが分かりました(階層的クラスター分析(1)使用:図1)。
1. 弾力のあるグループ (例:「押し返す弾力がある」「押し返す力がある」「跳ね返る力がある」)
2. ふっくらとしたグループ (例:「ふっくらとした」「適度な硬さのある」)
3. ピンとしたグループ (例:「ピンとした張りのある」「たるみがない」)
4. もっちりとしたグループ (例:「もっちりとした」「指・手のひらへの吸いつきがある」)
5. うるおいのあるグループ (例:「みずみずしい」「うるおいのある」)
つまり、「ハリ感」は一つの感覚ではなく、複数の異なる肌印象を含む言葉であることが明らかになりました。

図1.ハリ感を表現する語の分類
STEP2 : グループ分けした言葉をマッピングし、言葉同士の関係性を可視化
次に、グループ分けした言葉を、意味の近さに基づいて2次元空間上にマッピングしました(多次元尺度構成法(2)使用:図2)。これにより、各グループの配置や言葉同士の近さを可視化しました。

図2.ハリ感を表現する語のマッピング
STEP3 : ハリ感を表現する言葉と実際の肌の質感の結び付き評価
最後に、「ハリ感の違いが、具体的にどのような肌の質感と結び付いているのか」を調べました。官能評価試験で得られたスコアを回帰分析(3)した結果(表1)、以下が得られました。
• 「ふっくら」「うるおい」は、柔らかさと関係が強い
• 「もっちり」は、しっとり感と関係が強い
• 「ピンとした張り」は、柔らかさとは逆の関係がある
これは、同じ「ハリがある肌」でも、人によってイメージしている肌状態が異なることを示しています。例えば、ある人は“柔らかくてうるおった肌”を理想のハリ肌と感じ、別の人は“引き締まってたるみのない肌”を理想のハリ肌と感じている可能性があることを示します。

【まとめ】
化粧品では「ハリ」という言葉がよく使われますが、その受け取り方は人によって異なります。この違いを明らかにできたことで、今後はお客様が求める肌のイメージに合わせて、より適切な製品開発や情報発信を行える可能性があります。 本研究により、「ハリ感」という感覚的な言葉を、「言葉の意味構造」「実際の肌の質感」の両面から整理・可視化することができました。この知見を活用することで、お客様が使う言葉の違いを正しく理解する、目指すハリ感に応じた製品設計・表現を行う、といった効果実感とコミュニケーションの精度を高めた製品開発が可能になると考えています。
【用語説明】
(1) 階層的クラスター分析 データ間の類似度に基づき、対象を階層的にグループ分けする統計手法。
(2) 多次元尺度構成法 データ間の類似度に基づき、対象同士の位置関係を2次元や3次元の空間上に表現する手法。
(3) 回帰分析 ある要因(説明変数)が結果(目的変数)にどう影響するかについて、数式モデル(回帰式)を用いて予測・分析するための統計手法。
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