Beauty02「美しい角層」を育む
独自の発想

アクティブセラミドの開発

  • ビューティサイエンス研究センター枝 亜希子

2022年8月時点

美しい肌へ導く「アクティブセラミド」

ファンケルでは長年の素肌美研究を通じ、美しい肌のために本当に重要なケアを考えてきました。一般的に、肌の水分が逃げないようにフタをしてうるおすことがスキンケアでは重要だといわれていますが、ファンケルがたどり着いた答えは「自らの力でバリア機能を整え美しい角層を育む」こと。それを実現するのがファンケルが新しく開発した独自のアプローチ「アクティブセラミド」です。

肌の自活力でセラミドを「作る」という独自の発想

美しい肌を考える上でバリア機能はとても重要な役割を持っています。角層は角層細胞と角層細胞間脂質が重なったミルフィーユのような構造をしており、水分と油分を交互に積み重ねることで肌の水分を保持し、外的刺激から肌を保護しています。これがバリア機能です。バリア機能が乱れてしまうと肌は乾燥するだけではなく、紫外線等の刺激が肌の奥まで入りやすくなりエイジングを加速させてしまいます。※図1

正常な角層とバリア機能が低下した角層(図1)

角層は角層細胞と細胞間脂質が重なったミルフィーユのような構造をとることでうるおいを保持し、外的刺激から肌を守る。バリア機能が低下した角層では、乾燥や紫外線などの刺激が肌の奥まで到達し、エイジングが加速するといわれている。

そこで私たちはバリア機能を整えるために「角層」に着目し、その中でも特に重要となる、角層細胞間脂質の主成分であるセラミドにアプローチすることにしました。セラミドは少なくなるとバリア機能が低下することが知られている、素肌美にはなくてはならない物質です。

これまでも、化粧品の保湿成分としてセラミドは広く使用されており、セラミドを塗ることで肌の表面に膜を作り、物理的にバリア機能を修復することが期待されてきました。しかしながら、人の肌には10種類ほどのセラミドが存在し、場所によって存在するセラミドの組成が異なること、そして老化によっても肌のセラミドの組成は変化することから、その人の肌に合ったセラミドを増やすためには、単にセラミドを与えるのではなく肌自体を活性化し、自らの力でセラミドを作り出すことが一番であるとファンケルは考えました。

セラミドを作るために必要なタンパク質FATP4に着目

ファンケルでは、肌のバリア機能回復のために、セラミドを作り出すのに必要となるタンパク質であるFATP4に着目し、研究を始めました。FATP4は、栄養の取り込み口として機能しており、FATP4から取り込まれた栄養素からセラミドは作られます。しかし、肌細胞に対するFATP4の知見は少なく、肌のバリア機能とFATP4の関係性を明らかにする実験方法を一から作り出すなど、研究は困難を極めました。

試行錯誤しながら研究を続けた結果、乾燥などのバリア機能を破壊させるストレスを肌細胞に与えるとFATP4が少なくなることや、ストレスを取り除くとFATP4が増え、バリア機能が回復することを明らかにしました。そして、FATP4は防腐剤によっても減少することから、FATP4の機能を最大限に発揮するためには防腐剤を入れないことが重要であることが分かりました。これはファンケルが発見した新たなストレスフリーの作用です。

更なる検討として、それまでは化粧品に使用していなかった成分も含めた約800種類の素材の一つひとつを評価した結果、特定の糖類がFATP4を強く活性化し増加させることを発見しました。そして魚類由来のセラミド成分と組み合わせることで、セラミドを補いながら肌自身のセラミド産生力も高めることができる独自の働きを持つ成分「アクティブセラミド」が誕生したのです。※図2 ※図3

はじめにFATP4に着目してから4年の歳月をかけて開発された「アクティブセラミド」の研究結果は、学会発表・特許出願している、まさにファンケルの技術力が詰まった成分です。

三次元皮膚モデルにおける乾燥刺激に対するアクティブセラミドの改善効果(図2)

三次元皮膚モデルに、乾燥刺激物質とアクティブセラミドを添加し、10日間培養したときのセラミド量を測定。

結果

アクティブセラミドを添加したときに、より多くのセラミドが産生された。

乾燥した肌に対するアクティブセラミドのバリア機能改善作用(図3)

バリア機能が低下した8名の前腕内側部に2週間使用したときの、肌表面の角層細胞の状態を評価。

角層細胞のセラミドが多いと、白く光りバリア機能が高いことを表す。

結果

アクティブセラミドでは、セラミドのみより高いバリア機能改善が認められた。

より肌に優しく、より素肌美を実現する成分を

ファンケルでは、「アクティブセラミド」の開発に満足することなく、同じように肌が自ら持っている力を高める成分の開発を現在も続けています。体内に存在するものにより近い成分にすることで肌に負担をかけず、そして何よりも肌本来の美しくなろうとする力に効果的に働く成分の研究と開発に日々取り組んでいきたいと考えています。