Beauty03「角層バイオマーカー」による
パーソナルスキンケア

角層バイオマーカー研究

  • ビューティサイエンス研究センター東ヶ崎 健

2016年7月時点

肌の未来を予測する「角層バイオマーカー」

ファンケルでは、化粧品に含まれる添加物や紫外線などの「肌ストレス」が肌に与える影響について細胞やDNAレベルで研究を行ってきました。そして、無添加化粧品が、肌ストレスを与えず肌本来の力を高め、美容成分の効果を最大限に引き出すことができることを見出し、「エイジングケア」につながることを実証してきました。

さらに、肌のストレスを研究する中で、より効果的なエイジングケアを提供するためには、肌表面に見える老化兆候が起こる前に肌内部で起こっている細胞レベルでの変化を知り、それに対応するスキンケアをすることが重要だと考えました。そのためにファンケルが独自に開発した肌の解析方法がテープ1枚で肌の現在と未来がわかる「角層バイオマーカー」測定です。

角層に刻まれた肌の履歴に着目

私たちの肌は、外部のストレスから身体の内部を守る重要な役割を担っています。表面的には健康に見える肌であっても、肌内部のタンパク質レベルでは外部ストレスから細胞を守るため様々な変化が起きています。その肌の奥の変化を捉えるにはどうすれば良いのか。そこで着目したのが、肌の表面の「角層」です。外部からのストレスを受けた肌は防御のために細胞内のタンパク質を変化させます。※図1 その後、肌のターンオーバーによってそれらのタンパク質が角層まで上がってくるため、角層を調べることで目には見えない肌の奥のことを知ることができるのです。つまり、肌表面にある角層細胞には、数々の肌ストレスと闘った細胞の「履歴」が刻まれていると考えたのです。

肌表面の角層に含まれるタンパク質は100種類以上。そのなかから、細胞での実験や論文調査により皮膚の老化に関わるタンパク質を選び、さらに研究を進めた結果、特に皮膚老化に関わる7つのタンパク質、刺激感受性タンパク(HSP27)、炎症タンパク(MIF)、抗酸化タンパク(DJ-1)、炎症性細胞修復タンパク(NGAL)、細胞乾燥タンパク(ガレクチン7)、酸化調整タンパク(アルギナーゼ1)、細胞活性化タンパク(IL-1RA)を見出しました。

外界からのストレスで増加するタンパク質[HSP27](図1)

結果

季節により角層中のHSP27量は変動し、花粉の多い春先には、HSP27量が多くなる。

次に取り組んだのが、これらの7つのタンパク質をできるだけ簡便に、高精度に測定する技術の開発でした。角層からタンパク質を壊さずに抽出する方法や、1枚のテープで採取した角層に含まれるピコグラム(1兆分の1グラム)程度の微量なタンパク質を検出・解析する方法を徹底的に研究し、テープ1枚で得られる角層でそれらのタンパク質を高い精度で測定できる方法を開発しました。※写真1 ※写真2

3万枚以上のデータによりカウンセリング方法を確立を

この方法を用いて、お客様の現在の肌状態や自分では気づかない肌の老化リスクなど、肌の将来を予測する方法を確立するため、述べ3万枚以上のテープを用いてヒトの個人差について徹底的に解析しました。そしてこの新たな肌測定方法により、角層を採ったテープ1枚を郵送いただくだけで、客観的に自分の肌質とスキンケア方法をご案内できるようになりました。

角層バイオマーカー測定の技術は、基礎的な細胞レベルでの研究から、測定方法や装置の開発まで、ファンケルが持つ技術力と多くの研究者の力が集結して開発されました。これらの研究の成果は、国内外の学会や論文等で多数発表したほか、多くの特許を取得し、ファンケルの基盤技術として、さらに皮膚科学研究を推進する礎となりました。

自分の肌質を知ることで、本当に必要なケアを選んで欲しい

[角層マーカー結果シート]

自分にあったスキンケアを選ぶことで肌は変わります。しかし、世の中に数多ある化粧品の中から、「自分にあった化粧品を見つけること」はとても大変です。ファンケルで開発したこの細胞レベルから解析する角層バイオマーカー測定は、お客様が本当に必要とするパーソナルなスキンケア方法を「エビデンス」を持ってご提供できる新しいカウンセリングシステムです。

また、この角層バイオマーカー測定は、肌の弱い方のバリア性を簡単に客観的に測定できる方法として、すでに医療現場でもご活用いただいておりますが、さらに皮膚科医とのリレーションを強化し、より多くの方々のお役にたてる技術開発を進めていきたいと思っています。
今後も、お客様の現在そして将来の素肌美の実現の手助けとなるよう研究を進めてまいります。