Beauty04「究極の洗い上がり」
を実現する技術の追求

洗顔パウダーの開発

  • 化粧品研究所最上 理映

2016年7月時点

創業当時から続く「洗顔パウダー」の研究開発

洗顔パウダーは、ファンケルが創業当初から販売しているロングセラー製品です。よりお客様に喜んでいただける製品になるよう、常に技術開発と改良を重ねてきました。

ファンケルでは、洗顔はスキンケアの重要なファーストステップであると考えています。素肌美を実現するための洗顔の役割としては、肌の汚れや不要な角層、酸化した皮脂などはきちんと落としながらも、肌が本来持っているうるおいを守って洗うことが重要です。ファンケルでは、水を含まないパウダー状であるからこそ、これらの条件が揃った洗顔料を実現できると考えています。

こだわりの洗浄成分

ファンケルの洗顔パウダーには、独自に開発したこだわりの洗浄成分(界面活性剤)が使われています。肌の角層には、天然の保湿成分であるNMF(天然保湿因子)があり、アミノ酸などが含まれています。NMFは肌のバリア機能にも関与していると言われていますが、水に溶けやすいため例えば水で顔を洗っただけで流れ出てしまうのです。ファンケルではNMFの中でも特に保湿機能に優れているPCA(ピロリドンカルボン酸)に着目しています。ファンケルが開発した洗浄成分は、肌表面にある汚れや不要な角層、酸化した皮脂などはきれいに取り除きながらも、肌が元々持っているPCAは守って洗うので、洗顔後もうるおいを保った洗い上がりを実現できます。※図1

独自開発した洗浄成分の機能(図1)

独自開発した洗浄成分の機能

結果

一般的な洗浄成分と比べて洗浄時に肌から流れ出るPCAの量が少ない。

機能性と使用性の更なる向上を目指して

私たちは数年前から、洗顔パウダーの特長であるもっちりとした泡の感触やうるおいを保った洗い上がりを、さらに向上させるための研究を始めました。既存の技術に囚われず発想を豊かにして、化粧品に使われるものだけでなく、食品などにも使われるさまざまな原料を配合してみては泡立てて確認することを繰り返しました。結果、通常は乳液やクリームなどに使われているエモリエント成分を配合すると泡の感触がよりもっちりとなめらかで心地よくなり、肌のバリア機能を守って洗う効果が高まることを発見したのです。※図2 しかし、このエモリエント成分は、通常は比較的大きな粒子のため、そのままでは洗顔パウダーに入れることはできませんでした。私たちは、試行錯誤の末、エモリエント成分をパウダー状にする技術を開発し、洗顔パウダーに配合することに成功しました。
そして次に取り組んだのが、泡立てやすさです。従来のファンケルの洗顔パウダーも、水に溶けやすい加工をしているため、泡立てが苦手な方でも比較的簡単に泡立てられるようにしていました。しかし私たちは、さらに泡立ちの良い洗顔パウダーにするための研究に取り組みました。そこで私たちが目をつけたのが両性界面活性剤と呼ばれる洗浄成分です。両性界面活性剤を少し加えると、泡立ちが良くなることはわかっていましたが、通常液体で存在するため、洗顔パウダーに配合するのは困難だったのです。そこで私たちは、液体である両性界面活性剤を凍結乾燥(フリーズドライ)することでパウダー状にする技術を新たに開発しました。そうすることで、両性活性剤を洗顔パウダーに配合することに成功したのです。※図3 この新技術によって、ボリュームのある泡をより簡単に作れるようになりました。※図4 この技術については、特許を取得しました。

これらの技術は、お客様の声に耳を傾け、洗顔パウダーをよりよいものとするためにチャレンジした画期的な製剤技術です。

バリア機能を守って洗う効果(図2)

バリア機能を守って洗う効果

結果

一般的な洗顔料では、複数回洗浄するにつれて肌から水分が蒸発しやすくなっていくのに対し、洗顔パウダーでは水分が蒸発しにくくなり、皮膚バリア機能が守られている。

ファンケルが持つイノベーションの精神

2016年8月に発売する進化した洗顔パウダーには、従来なら配合するのが難しいと考えられていた成分が使われています。これらは、さまざまなアイデアを用いて試作し、ひとつひとつの効果を確認するという地道なプロセスを繰り返すことでたどり着いたファンケル独自の技術です。

ファンケルでは安心・安全・やさしさの理念のもと、化粧品の研究開発を誠実に行っています。そして私たちは、その理念を守りながら、他には無い新しい技術や材料を開発して製品に応用し、使用性や機能性の高い製品とすることを目指してきました。今後も、お客様に信頼され喜ばれる製品の開発を続けていきます。

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