- 機能性食品研究所岡田 裕実春
2016年7月時点
内側からも「アンチストレスケア発想」を
ファンケルでは、肌も体の器官の一つであり、肌表面、外側からのケアだけでなく、体の内側からのケアも素肌美のために重要と考え、長年にわたり内外美容を提唱し、研究を重ねてきました。
不規則な生活や加齢、紫外線、精神的負担、偏った食生活、過度な疲労などは、体が美しい肌をつくる機能までも低下させるストレスとなり、シワやたるみ、くすみ、乾燥などさまざまな肌悩みにつながる要因となります。
これまでの一般的な美容サプリメントは、単に美容成分を「補う」ことだけを考えていました。しかし、様々なストレスの影響で、美肌を作る力が弱まった体では、いくら美容成分を補おうとしても、それらをうまく体内に取り入れることができない、あるいは取り込んでもすぐに壊れてしまうなど、美容成分を有効に使うことはできません。つまり、ストレスを取り除くことが、体に取り込んだ成分を十分に生かすことにつながるのです。内側からも、ストレスの影響を取り除き、美しい肌を作る力を高める「アンチストレスケア」発想でアプローチする必要があると考えました。
美しくなるために体の中=内臓に注目
私たちが、ストレスを根本的に解消し、美しくなる力を高めるために内臓に着目したのと同時に、この独自の発想は、ファンケルの研究員たちの新たなチャレンジの始まりでもありました。それまで、内臓を健康にすることによって美肌力を高めることを目的としたサプリメントは、ほとんどありませんでした。そして、このことに関する知見が少なかったため、特にどの内臓が、肌の健康と深く関係しているのかという検討から始め、そして肝臓と腸の健康が素肌美に重要であることを見出しました。さらに、私たちは単なる肝臓や腸を健康にするためのサプリメント開発ではなく、その先の美肌を実現するために何ができるのかを徹底的に追及しました。
「美容栄養学」による美容食品の開発
ファンケルではまず、体の内側からの「アンチストレスケア」で、本来持っている美しくなる力を根本から高める方法を追求するために、「体の中と美容の関係」と向き合うことから取り組みました。美肌を生み出すために重要な肝臓と腸の働きを中心に、内臓の働きと環境や生活の関係について生理・生物学的情報をリサーチし、肌とのかかわりという視点で、ファンケル独自の「美容栄養学」をまとめたのです。そしてこの美容栄養学に基づき、美肌を生み出す根幹の器官である肝臓と腸をストレスから守り、自ら美しくなる力を引き出す美容食品の開発に着手しました。
私たちは肝臓や腸が十分に機能を発揮して美肌への素地を作るためには、酵素などのタンパク質がきちんと作用しなければいけない、ということに着眼しました。タンパク質は、酸化されることによりその機能を失います。私たちはタンパク質の酸化を抑制する成分と、その組み合わせの探索に取り組みました。その結果、リンゴポリフェノールが、活性酸素に対して高い抗酸化力を持つこと、シリビン(マリアアザミエキス)と大豆サポニンを組み合わせることよって、タンパク質の酸化抑制力が飛躍的に高まることを発見しました。また、細胞にダメージを与える“糖化”ストレスも、「リンゴポリフェノール」や「シリビン(マリアアザミエキス)」で抑制されることを見出しました。※図1そして、この成果を生かして「シリビン・リンゴポリフェノール配合サプリメント」タブレット2製品とドリンク1製品※図2 ※図3を開発したのです。
「リンゴポリフェノール」シリビン(マリアアザミエキス)」の
“糖化”ストレス抑制作用(図1)
肝臓の細胞に「リンゴポリフェノール」または「シリビン(マリアアザミエキス)」を添加して培養すると、糖化によるダメージを抑えられる。
ファンケル調べ
結果
肝臓細胞への“糖化”ストレス抑制作用が認められた。
ドリンク 有効性【真皮密度】(図2)

【対象者】
たるみ・くすみが気になる40~50代の女性22名(平均年齢:45±4歳)
【摂取期間】
10日間
【摂取方法】
1日1回、1本30mlを夕食後~就寝前に飲用
【調査項目】
摂取前後に、真皮密度の測定、アンケート、皮膚キメ(レプリカ)測定等を実施
ファンケル調べ
結果
真皮密度が増加した。
ドリンク 有効性【キメ】
(図3)

【対象者】
たるみ・くすみが気になる40~50代の女性22名(平均年齢:45±4歳)
【摂取期間】
10日間
【摂取方法】
1日1回、1本30mlを夕食後~就寝前に飲用
【調査項目】
摂取前後に、真皮密度の測定、アンケート、皮膚キメ(レプリカ)測定等を実施
ファンケル調べ
結果
キメの整いが認められた。
さまざまな角度から美肌へアプローチ
ファンケルでは従来から、原料と有効性にこだわった製品開発を行い、エビデンスのある成分が、確実に効果を発揮できるような配合を行ってきました。またコラーゲンなどの美肌成分を単に配合するだけでなく、「UVによるコラーゲン分解酵素の増加」を抑えるリンゴポリフェノール、古いコラーゲンを捨てることにより「コラーゲンサイクル」を正常化し、シワにアプローチするシリビン(マリアアザミエキス)など、美肌のためのメカニズムそのものに着目した成分配合もしています。さらに、美容成分L-シスチンはヒドロキシチロソールと組み合わせることにより取り込みを高められることを発見・製品応用したように、美容成分の活性をより高められる組み合わせを見出して配合するなど、さまざま角度から美肌へアプローチする独自の研究と理論に基づいて製品開発をしています。
そして私たちはこれからも、常に新しい学術情報を取り入れ、さまざまな成分を検討していきます。また、原料の選定や使用するときの安全性にもこだわり、より効果の高い製品開発を目指し、お客様に喜んでいただける美容食品の研究・開発を続けていきます。
関連情報
- 研究開発レポート 「皮膚老化を抑制する効果があり、皮膚刺激の少ない「シリビン」って?」
- 特許取得 コラーゲンゲル収縮剤(特許第5572406号)
- 特許取得 異常蛋白質除去用組成物(特許第4255432号)
- 特許取得 I型コラーゲン産生促進用組成物(特許第4033877号)
- 特許取得 異常タンパク質除去用組成物(特許第3914244号)
- 特許取得 生体コラーゲン合成促進剤(特許第3802721号)