Health09研究員の情熱から生まれた
高めの尿酸値を下げる
日本初の機能性表示食品

「尿酸サポート」の開発

  • 機能性食品研究所櫻田 剛史

2019年11月時点

年々増加している「尿酸値が高めの方」へ

世の中の「不を解消」することに挑み続ける私たちファンケルでは、中高年男性の多くが気にしている「高めの尿酸値」を下げる「尿酸サポート」を開発。臨床試験でも効果を確認し、尿酸値が高め(尿酸値6.0~7.0mg/dL)の方を対象とする日本初の機能性表示食品として発売しました。

存在していなかった「高めの尿酸値」をサポートするサプリメント

血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えるとリスクが高くなることが知られています。一方で、高め(6.0〜7.0mg/dL)の尿酸値を下げたいというニーズに応えるサプリメントは、これまで市場に存在していませんでした。世の中にある「不」の一つであるこの問題を解決しようと5年ほど前に立ち上がったのが、サプリメントの研究開発を担当する櫻田剛史研究員。「高めの尿酸値をサポートする製品の開発は、私から会社に提案しました」と話します。

3つのアプローチ方法を設定

尿酸が作られるもとになるのがプリン体です。プリン体は、食品や飲料に含まれていることが知られていますが、実は体内に蓄積されているプリン体の多くは体内で合成されており、食事など外部から摂取されているのが2~3割とされています。
そこで櫻田研究員は、尿酸値を下げる方法として、(1)プリン体の吸収を抑える。(2)体内で尿酸が作られにくくする。(3)体外に尿酸を出しやすくする。の3つをターゲットに設定。これらをすべてカバーするような製品設計にすることで、より効果的に高めの尿酸値を下げることを目標としました。

[キトサンの考えられる働き] プリン体の吸収を抑える

櫻田研究員がまず取り組んだのが、プリン体の吸収を抑えること。そこで目をつけたのが、カニやエビなどの殻に含まれる「キチン」を加工して得られる食物繊維、「キトサン」です※図1

「キチン」を加工し作られる食物繊維 「キトサン」(図1)

「キチン」を加工し作られる食物繊維 「キトサン」

キトサンは、プリン体のもとになる食事由来の核酸等を胃で吸着し、消化酵素による分解を抑える機能があります。分解されなかったプリン体はキトサンと共に便として排泄されると考えられます。さらにキトサンは、過去に尿酸値対策の特定保健用食品として検討されたことがあるため、「プリン体の吸収を抑えることに関するエビデンスが豊富で、安全性も高いため採用しました」

[アンペロプシンの考えられる働き] 尿酸を作られにくくする

次に取り組んだのが、体内で尿酸を作りにくくする素材の探索。その中で発見したのが、中国の山地に自生する藤茶(とうちゃ)でした※図2。これまでも藤茶の機能に関する研究は数多くされており、中国版の特定保健用食品と言われる「保健食品」として認可されています。この藤茶に非常に多く含まれているフラボノイドが「アンペロプシン」です※図2。抗酸化作用をはじめとした藤茶の多様な機能性はこのアンペロプシンによるものだと考えられています。

「藤茶」とそれに多く含まれているフラボノイド「アンペロプシン」(図2)

「藤茶」とそれに多く含まれているフラボノイド「アンペロプシン」

櫻田研究員は研究の過程で、このアンペロプシンがプリン体から尿酸をつくる酵素「キサンチンオキシダーゼ」の働きを抑えることを発見したのです※図3

プリン体からの尿酸の合成(図3)

プリン体からの尿酸の合成

[アンペロプシンの考えられる働き] 尿酸を体から出しやすくする

最後に取り組んだのが、体外へ出しやすくする素材の探索です。血液中の尿酸は、尿細管に一度100%濾過され、その後大部分が血液中に再吸収されます。つまり、再吸収される経路を抑えると尿酸の排泄量が増え、尿酸値を下げることができるのです。そのことを念頭に様々な成分をしらみつぶしで検討する中で、櫻田研究員は、なんとアンペロプシンが尿酸を再吸収するタンパク質の働きを抑え、尿酸を出しやすくすることを見出したのです※図4

「腎臓における尿酸の排泄と再吸収(図4)

「腎臓における尿酸の排泄と再吸収

「アンペロプシンに、尿酸を作りにくくする作用と体から出しやすくする作用の両方が考えられることには、本当に驚きましたね」と櫻田研究員。その後、原料メーカーと共同で藤茶エキスの原料化に取り組み、アンペロプシンを高含有する独自原料の開発に成功しました※図5

「藤茶エキス」は原材料の調査から
臨床試験による有効性確認まで行ったファンケル独自原料(図5)

臨床試験による有効性確認まで行ったファンケル独自原料

尿酸値をサポートする日本初の機能性表示食品の誕生へ

尿酸サポート

ここに、キトサンでプリン体の吸収を抑え、アンペロプシンで尿酸を作られにくくし、さらには尿酸を出しやすくすると考えられる3点を押さえた製品「尿酸サポート」が誕生しました。
櫻田研究員は、続けて「尿酸サポート」臨床試験を実施。20歳以上65歳未満の男性で尿酸値が6.0〜7.0mg/dLの人を対象に試験を行ったところ、摂取12週間後の血清尿酸値の変化量が、機能成分がないプラセボ製剤群と比較して有意に低値だったことを確認※図6。このデータをもとに消費者庁へ届け出、受理されたことで、尿酸値に対する機能を臨床試験で確認した日本初の機能性表示食品となったのです。

<尿酸サポートの届出表示>
「本品にはアンペロプシン・キトサンが含まれるので、尿酸値が高め(尿酸値6.0~7.0mg/dL)の方の尿酸値を下げる機能があります。」

12週間「尿酸サポート」を摂取した時の血清尿酸値の変化(図6)

12週間「尿酸サポート」を摂取した時の血清尿酸値の変化

【試験デザイン】

無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験

【被験者】

(1)年齢20歳以上65歳未満の男性
(2)事前検査時の血清尿酸値が6.0mg/dL以上7.0 mg/dL以下

【試験食品】

「尿酸サポート」(アンペロプシン150mg、キトサン100mg含有)またはプラセボ製剤(アンペロプシン、キトサンを含まないカプセル)

【試験方法】

被験者に12週間試験食品を摂取していただき4週間毎に血清尿酸値 を測定し、摂取前からの変化量を調べた。

結果

「尿酸サポート」を摂取した被験者の12週間後の血清尿酸値変化量がプラセボ製剤を摂取した被験者と比べて、有意に低かった。

櫻田研究員

この結果は、製品の企画から研究、開発、製品化、臨床試験までのすべてに携わった櫻田研究員の情熱と、それをサポートしたファンケルの研究員の努力が花開いたものと言えるでしょう。そして私たちは、今後も独自原料であるアンペロプシンの研究を続け、さらなる機能性の追加など、皆さまのニーズに応えるサプリメント開発を続けてまいります。