効果を高める技術

フラボノイド類の一重項酸素消去能とその構造

POINT

  • ERP法(※1)を用いて一重項酸素(※2)の消去能を測定する方法を確立しました。
  • フラボノイド(※3)類の一重項酸素消去能(※4)の強弱はその構造と関係がある事を確認しました。

活性酸素種の一つである一重項酸素は、皮膚をはじめとする体の中で発生し、特に皮膚の病態悪化に大きく関与していると考えられています。いくつかのビタミン類には、そのような一重項酸素を消去する作用がある事が知られています。この度ファンケルは、新たに一重項酸素消去能を持つ植物エキスや成分を見つけ出す事を目的に、EPR法を用いて一重項酸素の量を簡便に調べる方法を確立しました(図1、図2)。

次に、この方法を用いて、植物中のフラボノイドについて、一重項酸素消去能の強さを調べました。その結果、フラボノイドの中でもわずかな化学構造の違いによって、一重項酸素消去能が大きく異なることを確認しました。

今後、この方法を用いて、体内の活性酸素を消去する作用を持つ植物エキスや食品原料の開発を進めていく予定です。

用語解説

  1. EPR法外部から磁界をかけて不対電子を観測する方法。活性酸素は不対電子を持つため、その同定や定量に用いられます。
  2. 一重項酸素活性酸素種の一つで、体内でも紫外線の影響などで発生することが知られています。他の活性酸素種であるスーパーオキサイドアニオンは、SODという生体の酵素よって消去されますが、一重項酸素を消去する酵素は生体内には存在しません。
  3. フラボノイド植物抽出物などに存在している抗酸化物質。主要なフラボノイドは無色のフラバノン類と、黄色のフラボノール類で、それらのフラボノイドは、身体にさまざまな生体調節機能をもたらすことが知られています。
  4. 一重項酸素消去能一重項酸素を消去する作用。一般的にカロテノイド類に強い活性があると考えられています。また、生体内で一重項酸素を消去する物質にはβカロテンの他、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、尿酸などがあります。