何気ない感動をずっと。FANCL

研究員の想い

「キンミズヒキ」の可能性を最⼤限に引き出すために
~商品化への道のり~

ファンケル 総合研究所 機能性食品研究所
サプリメント開発第ニグループ 課長

櫻田 剛史

2025年5月時点

・商品開発への想い

私の所属する商品開発チームは、安心・安全を第一に、科学的根拠に基づいた商品をお客様に届けるために日々全力で取り組んでいます。今回の商品開発は、使用する原料の植物選定からスタートするというファンケルでも初めての取り組みでした。基礎研究部門が見出した有望な素材を機能性と安全性をしっかり評価した上でしっかりお客様に届けるぞ、という強い気持ちと責任感を持って開発に臨みました。
はじめに、原材料である「キンミズヒキ」の安定供給体制を築くために、国内外の協力企業と共に供給者の調査を行いました。調査を積み重ねた結果、機能成分の含量が高く、品質が安定している契約農家の栽培品に辿り着きました。次に、原料製造の協力企業と共に機能成分を効率的に抽出する方法や機能成分の含量を高める濃縮方法を検討し、最適な製造方法を確立しました。最後に、基礎的な安全性試験やヒトでの安全性試験により、しっかりと安全性を確認し、有効性データを取得することで機能性表示食品として発売することができました。社内外の試行錯誤の集大成と研究員達の熱い思いがこの1粒に込められています。

・高品質なキンミズヒキを求めて

キンミズヒキ

植物の生育は天候などに左右されます。また、同じ植物でも生育する地域が異なれば、土壌環境などが異なり、含まれる成分の種類や量が少しずつ異なります。そのため、植物由来の原料を作る際に最も大切なのは、品質の振れが少ない植物をいかに安定的に入手できるかです。そこで、市場で流通している様々な地域の乾燥キンミズヒキを取り寄せて品質を検証してみました。
検証してみると、別の植物が混ざっていたり選別が不十分だったりと、品質にかなりのバラつきがあることがわかりました。しっかりとしたトレーサビリティが取れない市場の流通原材料を使用するのは品質管理の観点から難しいと考え、農家と契約し、栽培品を使用することを決断しました。また、栽培、収穫、乾燥、選別から農薬、異物の混入防止対策など入念な確認も行いました。
こうして高品質なキンミズヒキを安定的に入手するルートを確保することができました。

・機能成分の最適な抽出条件の確立

キンミズヒキ

キンミズヒキのエキス中のどの成分に機能があるのか明らかにするため、エキス中の成分を分離し、それぞれの機能性を評価しました。その結果、「アグルモール類」というキンミズヒキに特徴的な成分群に機能があることを発見しました。アグリモール類は水には溶けにくい脂溶性の成分であったことから、原料の製造方法を成分の性質に合わせて最適化する必要がありました。抽出する際の溶媒・温度・時間、不要成分の除去方法、乾燥方法などを協力企業と何度も繰り返し検証し、やっとの思いで最適な製造方法を確立することができました。また、使用するキンミズヒキの部位も葉、茎、花に分けて成分を確認し、安定かつ効率良くアグリモール類を抽出するためには、葉のみを使用することが最適であることを見出しました。
この濃縮エキスをファンケル独自の製剤加工技術により1粒に配合することに成功しました。

・少しでもお客様の摂取負担を減らすためにエキスをギュッと濃縮

キンミズヒキからアグルモール類を抽出する最適な条件を見つけることはできましたが、お客様の摂取負担を少しでも減らしたいという思いから、エキスを更に濃縮して、摂取量を減らすことを検討することとしました。エキスを濃縮すると製造中に脂溶性の成分が析出しやすくなり、取り扱いが難しくなるという課題が生じましたが、協力会社と一緒に改善検討を積み重ねていく中で濃縮エキスの物性を改善する方法を見出し、最終的にアグリモール類の含量を高める独自の製法を確立することができました。

・やっぱり安心・安全が第一

やっぱり安心・安全が第一

キンミズヒキは、食薬区分において、「食品」と明記されています。機能成分を濃縮したエキスを摂取した際の安全性については、自社で納得いくまで、データを取得しました。 原料の安全性の検証を実施し、最終的にヒトで連続摂取時や過剰摂取時の安全性評価を行い、安全性データを積み重ねてきました。また、原料が微生物、農薬、重金属に汚染されていないか、原料の成分パターンに変化がないかを確認しており、通常と異なった品質の原料が使用されないよう品質管理を徹底しています。また、過酷な温度や湿度条件下で商品が保管された場合のことを想定し、そのような場合でも品質が問題ないかを検証しています。