・FANCL老化研究プロジェクトへの仲間入り

私の所属するグループでは、お客様の健康サポートに生かせるような食品素材の機能探索とそのメカニズムの解明に取り組んでいます。私は、「健康領域で人の役に立ちたい」「世の中をもっと健康にして明るい社会をつくりたい」という想いからFANCLに入社し、健康食品業界に足を踏み入れました。そんな自分にとって今回の老化研究プロジェクトの一員となれることは、高齢化社会における課題解決の一助となるような挑戦であることから胸が高鳴りました。一方で、プロジェクトにメンバー入りした当時は総合研究所に配属されてから2年ほどしか経っていなかったこともあり、研究員達が社会課題解決の使命に向けて挑むそのプロジェクトの重みに大きな責任を感じ、プレッシャーに押し潰されそうな日々を送ってきました。
・キンミズヒキが秘める力を探る日々
プロジェクトメンバーに入ってからは、主にキンミズヒキがどのような機能を秘めているかを探索する業務に取り組んできました。世界中でまだ誰も知らないキンミズヒキの力を見つけ出していく作業は困難なことも多く、頭を悩ませてきました。キンミズヒキを長期間毎日摂取した時に、どのような変化が起こるのかを検証するために、4か月間、ほぼ毎日共同研究先の大学に足を運んで、実験をしました。気づけば、仕事を終えて帰宅後の時間や休みの日も「こんな機能があったらお客様に喜んでいただけそうだ」「どうやったら評価できるのだろうか」とキンミズヒキのことばかり考えるようになっていました。そのような中でキンミズヒキの新しい機能を発見できたときは、それまで大変だったことがどうでもよくなるくらい嬉しく、早く製品に役立てたい!と気持ちが昂りました。
・ヒトでの老化細胞除去機能データ取得の壁
ファンケルでは、キンミズヒキを長期間摂取したヒトにおいて老化細胞は除去されるのかを検証するために、40〜59歳の方にキンミズヒキを8週間摂取いただき、血液中の老化細胞の割合の変化を評価する臨床試験を実施しました。私はその中でも、被験者ごとに血球細胞中の老化した細胞の数を測定し、その割合を解析する作業を担当しました。一日で150検体ほど測定しなければならず、早朝から実験を始めて最後の検体の測定が終わるのは夜という日もありました。また多くの検体を測定し過ぎたのか、測定するための機械が試験中に2回も故障するというハプニングもありました。故障のたびに、すべての検体を測定し直すことになり、骨の折れる作業ではありましたが、何としてでもこの試験を成功させたいという想いで測定・解析に取り組みました。その結果、キンミズヒキの摂取により、ヒトで老化細胞を除去できるという重要なデータを取得することができました。
ー キンミズヒキ 由来アグリモール類摂取による
人での老化細胞除去作用の検証 ー

- 概要:中高年層(年齢が40 歳以上60歳未満の日本人男女)を対象にキンミズヒキ由来アグリモール類の8週間摂取による血液中リンパ球における老化細胞への影響を確認しました。
- 結果:男性のみを対象にした解析において、キンミズヒキ摂取群はプラセボ群と比較して、老化細胞の割合が有意に減少することが確認されました。これらの結果から、人においても、キンミズヒキ由来アグリモール類は体内に蓄積した老化細胞を除去する作用を持つ可能性が示唆されました。
- 出典: Nutrients. 2025 Feb 13;17(4):667.
・キンミズヒキの魅力を伝えたい
今回取得したヒトでの老化細胞除去機能に関する臨床試験の結果をはじめとした、キンミズヒキの機能性研究の成果を第25回日本抗加齢医学会総会で発表をいたしました。 自分の手で確かめたからこそ、早くこのキンミズヒキの魅力をより多くの人に伝えたいと強く思っています。食品で老化細胞を減らすことができるという事実が、加齢対策という概念を身近にし、少しでも多くの方の健康寿命延伸に役立てたら嬉しいです。
・更なる研究への意気込み

これまでの研究成果から、キンミズヒキは加齢に伴い生じる様々な機能の低下に対し非常に多くの作用をもつことが判明してきていますが、まだ見出せていないキンミズヒキの機能はたくさんあると予測しています。今後もキンミズヒキの機能について検証を続け、より多くのお悩み事の解消に役立つ可能性があることを明らかにしていきたいと考えています。また、キンミズヒキからさらに視野を広げ、加齢に伴い生じる課題対策となるような他の食品素材や、キンミズヒキとの相加相乗効果をもつような食品素材の探索にも取り組み、より良い加齢対策製品やサービスづくりを目指します。