何気ない感動をずっと。FANCL

研究員の想い

臨床試験の結果から見えた
「キンミズヒキ」の機能

~老化細胞への作用、活気・活力の向上と
疲労感の軽減作用を確認~

ファンケル 総合研究所 機能性食品研究所 臨床研究グループ

清水 良樹 坪川 雅哉

2025年10月時点

・キンミズヒキの機能性検証

機能性表示食品のパッケージに「この商品には○○の機能が報告されています」といった表示をするには、その商品が人に対して機能性や安全性があるかどうかを示す必要があります。そのためには、臨床試験の実施、もしくは既に発表されている論文情報を収集し、レビューを行い、その結果をまとめて、消費者庁へ届け出る必要があります。
ファンケルでは、新しい素材や商品を開発する際、「本当に体に良いのか」「安全か」を確かめるため、人を対象にした臨床試験を通して、しっかりと検証しています。私たちのグループではその臨床試験に関わる業務全般を担当しています。臨床試験は守らなければならない法律や倫理に関するルールが多く、制約も大きいため、機能性をヒトで確認することは容易ではありません。私たちのグループでは、キンミズヒキの摂取による「①老化細胞への作用の評価」と、「②活気・活力向上作用の評価」に関する臨床試験を実施しました。

・キンミズヒキによる老化細胞への作用の確認

“老化細胞除去”という考え方は2010年代ごろから提唱された比較的新しいものです。人における老化細胞除去作用の評価報告はまだまだ少なく、キンミズヒキによる老化細胞への作用を評価するためには、まず老化細胞の測定法の確立や、どんな人に試験に参加してもらうかを決める必要がありました。そのため、基礎研究部門である基盤技術研究センターと連携して、人の老化細胞量を評価するための測定法の確立を行いました。 この測定法を利用し、対象者の条件を確定して、老化免疫細胞が多い方々を対象に、キンミズヒキを摂取してもらう臨床試験を実施しました。その結果、キンミズヒキ摂取による老化免疫細胞の減少が示唆されました。

・キンミズヒキによる活気・活力向上、疲労感の軽減を確認

加齢に伴い増加する老化細胞は、細胞本来の機能を低下させるだけでなく、周囲の細胞にも悪影響を及ぼし、臓器や組織の機能低下を引き起こすと考えられています。また、加齢による生理学的機能の低下はストレス耐性の低下を招き、QOL(生活の質)の低下にもつながることが知られています。そのため、老化細胞除去は心身の不調の改善にも寄与することが期待されます。
そこで、私たちは、活気・活力が低下し、疲労感を感じている方を対象に、キンミズヒキを摂取してもらう臨床試験を実施しました。その結果、キンミズヒキの摂取により、活気・活力の向上、疲労感や無気力感の軽減が確認され、QOLが向上することが示唆されました。

ー キンミズヒキ由来アグリモール類摂取による
活気・活力の向上、疲労感の軽減 ー

  • 概要:40歳以上60歳未満の健康な成人82 人によるキンミズヒキ由来アグリモール類の12週間摂取によるQOL(生活の質)への影響を評価しました。
  • 結果:POMS2成人用短縮版による評価において、「活気-活力(元気さ,躍動感,活力を表す)」が向上し、「疲労–無気力(疲労感があり,意欲や活力が低下している状態を表す)」が軽減することが示唆されました。
  • 出典: 薬理と治療.2024;52(7):775-789.
  • *POMS2 成人用短縮版…世界的に広く用いられている気分の状態を短時間で多面的に評価できる心理検査

・更なる研究への意気込み

更なる研究への意気込み

これまでの基礎的な研究において、キンミズヒキは加齢に伴い生じる様々な機能の低下に対し、非常に多くの作用をもつことが分かってきています。しかし、人を対象とした検証はまだ十分とは言えません。私たちは今後も、キンミズヒキの持つ機能について、人での臨床試験を通じて検証を続け、その機能を明らかにしていきたいと考えています。ファンケルの研究力を存分に発揮し、加齢に伴う様々な悩みの解決につなげられるような商品やサービスの開発を目指します。