効果を高める技術

ケール長期摂取の身体機能老化度に及ぼす影響

POINT

  • ケール青汁の長期摂取が筋年齢※1と神経年齢※2を若く保つ可能性があることを同志社大学との共同研究によるヒト臨床試験で新たに見出しました。

青汁の原料であるケール※図1 は、アブラナ科植物(キャベツの原種)で他の野菜と比較しビタミン類、抗酸化成分およびミネラルなどの栄養素が豊富に含まれており、その健康効果についてはこれまで数多く報告されています。当社研究所でもケールの機能性について、骨量減少抑制の可能性、膝関節痛の緩和、スギ花粉アレルギー症状、アトピー性皮膚炎の緩和およびアルコール代謝改善等、報告してきました。このようにケールには多岐にわたる機能が期待されますが、その影響を老化度として総合的・客観的に検討した報告は過去にありませんでした。

そこで、ファンケルでは同志社大学 生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター 米井嘉一教授と、ケールの身体機能に対する影響を総合的に検証することを目的とし、ケール青汁を長期摂取している方を対象に、アンチエイジング(老化度判定)ドック※3を受けていただき、筋年齢・骨年齢・ホルモン年齢・神経年齢・血管年齢を評価する共同研究を行いました。

ミネラル農法で栽培した国産ケール生葉120g分を1杯分とした青汁を、1年以上毎日継続摂取している50〜69歳女性110名(以下、ケール群)に、アンチエイジング(老化度判定)ドックを受診していただきました。また比較対照として、すでに全国で蓄積されているアンチエイジング(老化度判定)ドックのデータから、ケール群と年齢、性別を合わせた集団1063名のデータ(以下、コントロール群)を用いました。

その結果、ケール群の神経年齢は53.5±12.8歳(実年齢‐4.8±12.0歳)、筋年齢は48.7±3.9歳(実年齢‐9.7±4.7歳)とコントロール群と比較して若いということが示されました(p<0.05)。※図2
また、血液検査の結果、血中中性脂肪や空腹時血糖値も、ケール群がコントロール群と比較して有意に低い結果でした。※図3
さらに、尿検査においても酸化ストレスの指標であるイソプラスタン生成速度がケール群でコントロールと比較して有意に低い結果でした。※図4
その他、ケール群では脂質代謝、糖代謝、動脈硬化それぞれの指標※5において、有用な結果が得られました。さらに、抗加齢QOL共通問診票※4においては、身体の症状で「動悸」「息切れ」「口が渇く」「食欲不振」「胃が張る」「咳や痰が出る」「下痢」「便秘」、心の症状で「眠りが浅い」「ど忘れする」「問題を解決できない」の項目でコントロール群と比較してケール群で有意にスコアが低く、ケール群は心身の自覚症状において、記憶・知能や便秘などの消化器症状に関する項目を中心にコントロール群と比較して優れている項目が多いことが示されました。これらの結果から、ケール青汁を習慣的に摂取することは、健康長寿において重要視される、運動機能と脳機能の維持・改善や生活習慣病の改善に役立つことが期待されます。

本研究成果はWeb Journal「Glycative stress research,Volume.3(2):81-90(2016)」にも、論文として掲載されました。超高齢化社会に向けて、今後も皆様の健康長寿に貢献できるよう、青汁製品の開発、機能性研究を進めてまいります。

用語解説

  1. 筋年齢体組成計で測定した大腿部の筋肉量から筋年齢を算出します。この検査で、将来立ち上がれなくなるリスクを評価します。
  2. 神経年齢 ウィスコンシンカードソーティングテスト(表示される図形を色、形、数によって分類していくゲーム感覚で行っていただく検査)を行い、神経年齢を算出します。この測定結果から、痴呆の兆候がないかをチェックします。
  3. アンチエイジング(老化度判定)ドッグ同志社大学で開発された加齢や老化という兆候や症状についての一連の検査システム。早期発見、早期治療、生活指導を行うことによって、加齢、老化の予防を実現することを目的としたシステム。
  4. 抗加齢QOL共通問診票 日本抗加齢医学会推奨の問診票であり、アンチエイジングドッグに用いられる身体と心の症状に対する調査票。1〜5スコアの5段階評価。
  5. 指標については、それぞれ、以下の数値で比較した。脂質代謝:
    HDLコレステロール
    LDLコレステロール/HDLコレステロール比
    糖代謝:
    HbA1c、インスリン、HOMA-R
    動脈硬化:ホモシステイン