Story01

プロジェクトストーリー

無添加キッズスキンケア『クリアアップ』。若手社員たちが挑む新商品開発

若手社員たちのアイデアから、実際に新商品ができるまで

神奈川県のある小学校の教室で、高学年の児童たちが自分の頬に触れながら目を輝かせて声を上げている。ファンケル社員が教える、肌の授業だ。この光景の出発点は2022年。当時、入社2年目だった3人の社員が、社内アイデアコンテストに手を挙げた。やがて3人が辿り着いたのは、遠い夏に置き去りにされた後悔だった。

Product

無添加キッズスキンケア『クリアアップ』

小学校高学年に向けた、ファンケル初のキッズスキンケアシリーズ。泡洗顔料、ジェルミルク、UVカットスティックの3品で構成される。洗顔の後はジェルミルク1本など、工程を増やさず、子どもが自分の手で毎日続けられることを設計の起点に置いた。

Member

取材当時の情報になります。

総合職

企画本部 イノベーション

藤本 珠久

2021年新卒入社

総合職

健康食品事業本部
ウェルエイジングブランド

遠藤 大輝

2021年新卒入社

研究職

総合研究所 化粧品研究所

山田 優里菜

2021年新卒入社

総合職

広報・サステナビリティ本部
サステナビリティ戦略部

守倉 梨奈

2017年中途入社

取材当時の情報になります。

Chapter 01アイデアの起点は解消したい「不」

プロジェクトの本当の起点は中学時代。炎天下の校庭で日差しにさらされ続けた、1人の少女の肌だった。

藤本が入社2年目を迎えた春、社内で初めてのアイデアコンテストが開かれることになった。同期の遠藤に声をかけたものの、この時、手元にアイデアがあるわけではなかった。「まずは人を集め、それから何を提案したいかを考えよう」。良いアイデアを発案するためには、発想の枠を広げることが必要だと分かっていた。健康食品に関わる仕事をしていた2人は、化粧品研究所に所属する同期の山田に声をかけることを、このプロジェクトのスタートに決めた。

企画本部藤本さん

最初に配属されたのが専門性の高い部署で、関わる人も仕事の範囲も限られていました。ファンケルというさまざまな可能性を秘めた会社にいるのだから、もっといろいろなことを経験してみたいと思い、通常業務と両立してそれができるならと参加を決めました。

健康食品
事業本部
遠藤さん

入社後、同期はそれぞれの部署に配属されます。そこでもう一度集まって何かに挑むのは、単純に面白そうだと思いました。2年目だし、もっとできるだろうという気持ちも強かったかもしれません。

コンテストで問われたのは、アイデアそのものの質と、その裏にあるお客様の「不」をどこまで理解しているかだった。事業として成立するかどうかは応募条件になく、だからこそ何の経験もない3人でも手を挙げることができた。ファンケルは1人の女性の肌トラブルから生まれた会社だ。では、いまだ満たされていない「不」はどこにあるのか。その問いに山田が辿り着いたのは、自分の肌に残る小さなシミに気づいた時。あの夏のグラウンドだった。

総合研究所山田さん

中学時代はソフトボール部で、毎日炎天下の校庭にいました。日焼け止めやスキンケアについては親に言われていましたが、なぜやるべきなのかを知る機会がなかったので、やっていませんでした。それが何年か経って、自分の肌の悩みとして返ってきました。

Chapter 02足りなかったのは、知る機会だった

何を使えばいいのか分からない。それは子どもだけでなく、親の声でもあった。

「将来後悔する人を減らすために、子どもの肌を守るスキンケア商品を」。このアイデアはコンテストで評価され、事業化検討プロジェクトとして動き出した。ターゲットを小学校高学年としたのは、この年代に向けたケアがほとんど見当たらないうえ、皮膚の変化がはじまり、肌状態の変化を感じはじめる時期でもあったからだ。就学前は親が子どもの肌をケアすることが多く、中学生になれば本人が悩みを持ちはじめると聞く。その谷間にだけ、商品も習慣も存在していない。まだ誰も気づいていないのか、そもそも「不」として存在しないのか。肌の仕組みの上で必要がないという可能性もある。事業を検討する段階になり、チームはその見極めを迫られた。

健康食品
事業本部
遠藤さん

どれだけファンケルらしいものをつくれても、ひとりよがりの商品は長く続けられません。起案した3人の想いだけでなく、どれだけ多くの人が必要としているのかを、当時の化粧品事業本部の方々に支えてもらいながら、可視化していきました。

答えは、マーケティングデータの数字にはなかった。小学生の子を持つ親に、1人ずつ話を聞いて回った。浮かび上がってきたのは、子どもたちの「不」だけではなかった。何を使わせればいいのか分からない、どれが正解なのか分からない。親自身もまた、知る手立てを持っていなかった。足りていなかったのは商品ではなく、正しく知る機会だった。

総合研究所山田さん

発端が自分の過去への後悔だったので、対象年齢を決める議論ではさまざまな意見が飛び交いました。そこにお客様の真実の「不」があるのかを徹底的に考え、議論することの大切さを、あの時に学んだと思います。

Chapter 03答えは、子どもが持っていた

必要な成分と心地よさ。相反する2つをどこで両立させるか、決め手は自分たちの中になかった。

開発担当の山田には、2つの譲れないことがあった。子どもの肌に本当に必要な成分だけを入れること、そして、肌につけた時の心地よさを損なわないこと。この2つの両立は、きわめて難しいものだった。肌に潤いを与える成分もそれをキープする成分も必要でありながら、これらは肌がべたつく原因になる。最初のスキンケア体験が不快な記憶になれば、習慣そのものが生まれない。必要なものを入れながら、心地よさを守る。この相反する難題から、山田は逃げなかった。

総合研究所山田さん

社員のお子さんに使ってもらい、べたつきを不快と感じるのはどこからか、感想を聞きながら何度もサンプルをつくり直しました。想像だけではどうしても結論づけられない、きわめて繊細な調整でした。

同じ視点は、容器の形状やデザインにも及んだ。泡洗顔料のポンプは、小さな手でも最後まで押せるよう調整された。デザインでは、複数の案をつくり、小学校高学年の子どもたちに直接見てもらった。チームの仮説は「少し大人っぽいデザインのほうが手に取ってもらえるのでは」。ところが、子どもたちが心を寄せたのは、かわいらしさのほうだった。仮説は、当の本人たちによって覆された。

健康食品
事業本部
遠藤さん

デザインを決める段階で、本当の意味での「お客様視点」に気づかされました。大人から見た子どもではなく、その世代の声をちゃんと聞きに行くという意識が、何より大切なのだと実感しました。

企画本部藤本さん

使うのはお子さん、買うのは親御さんになりますので、誰に向けてつくるのか悩ましいところです。それでも、お子さん自身のスキンケア習慣をつくることが本当の目的でしたから、お子さんの生の声を聞いて商品に反映させることにこだわりました。

Chapter 04親には安心を、子どもには楽しさを届ける

商品はできた。でも、もっと大切なのは、込めた想いまで届けることだった。

子どもには、スキンケアは心地よいもので、いまの自分をいたわることが未来の自分につながるという感覚を。親には、いまからはじめておくべきことなのだという理解を。両者を同時に満たすために、広告も、店頭ツールも、商品に同封する冊子も設計された。
少しでも早く子どもたちの手に届けたい。その一心で開発はスピーディに進められた。営業向けの商品説明会では、藤本たちの想いに共感した社員の拍手で会場が温かく包まれた。起案から市場投入までおよそ2年半。無添加キッズスキンケア『クリアアップ』が、ファンケルの店頭に並んだ。

企画本部藤本さん

発売後、講座やイベントで小学生のお子さんと接する機会がありました。実際に商品を手に取って、「かわいい」「スキンケア楽しい」と言ってくれる。親御さんからも、「子どもとコミュニケーションをとるきっかけになった、ありがとう」と言っていただけました。これまで信じて進めてきたことが親子の笑顔につながった、忘れられない瞬間でした。

健康食品
事業本部
遠藤さん

藤本さんが営業向け説明会で話してくれた時、会場が拍手喝采になりました。全社を挙げて1つの商品を世に送り出そうという想いを肌で感じ、胸が熱くなったのを覚えています。

Chapter 05知る機会をつくり続けていく

スキンケアはなぜ必要なのか。教室を、その答えに出会える場所に。

ファンケルは以前から、環境や栄養をテーマに、小中高生に向けた講座を各地の学校で開いてきた。担当の守倉には、もっと事業との結びつきを強めたいという想いがあった。そこへ『クリアアップ』が加わる。小学校高学年が抱える肌の「不」に着目した商品を活動に取り入れれば、スキンケアの大切さを早い段階から伝えられるうえ、使い方や効果をその場で実感してもらえる。商品を通じてファンケルへの親しみも深まっていく。守倉は、これこそ私たちがやるべき持続可能な取り組みだと確信した。

広報・サステナビリティ
本部
守倉さん

それまでの講座は環境や栄養がテーマの中心でした。特に環境については、業界を問わず多くの企業が取り組んでいるテーマです。だからこそ、ファンケルにしかできない講座や活動を見つけたいと、ずっと考えていました。

キッズスキンケア講座は、クイズで肌の仕組みを学び、実習で洗顔とジェルミルクを試し、その前後で肌の水分量を測る。数値が変わるから、やる意味が腑に落ちる。教室には毎回、子どもたちの驚きの声。教育委員会や自治体との連携もはじまり、毎年講座の依頼が届く学校も出てきた。夏休みは要望が集中するため、若手講師を育てて体制そのものをつくり直した。実習で使った商品は持ち帰ってもらう。「おうちでも使ってみてね、おうちの人に見せてね」と言い添えて。

広報・サステナビリティ
本部
守倉さん

研究員が講師をする回では、紫外線実験が加わったりして、毎回新しい気づきを持ち帰ることができます。その気づきから講座の中身を見直していくなど、現場で受け取ったものが、そのまま次に反映される仕組みができつつあります。

Epilogueエピローグ

山田は、子どもたちが笑顔で製品を使ってくれた時のことを感無量だったと振り返る。「あの時、『クリアアップ』を使いはじめてよかった」と、いつか思ってもらえたら。遠藤が思い描くのは「肌悩みのない社会」だ。3人でアイデアを探していた頃に生まれたこの言葉は、いまもチームの共通言語になっている。藤本は、子どもの頃からスキンケアをするのが当たり前の世の中になってほしいと願っている。「自分に自信を持てる人がそれだけ増えるはず」だから。守倉は、その商品を持って今日も教壇に立つ。頬を触って驚いている子が目の前にいる。「これなら続けられそう」という声を、毎回持ち帰っている。
あの夏に誰かが教えてくれていたら。1人の後悔からはじまった「不の解消」への挑戦が、いま10歳の誰かに、届いている。