・食用や生薬として親しまれてきたキンミズヒキ
キンミズヒキは、古くから東アジアなどに生育する多年草です。日本でも全国に広く分布しています。7~10月になると茎の上部に長く伸びた花軸に小さな黄色の花をたくさんつける様子から金水引(キンミズヒキ)の名前がつきました。
キンミズヒキは古くから人々の暮らしと深くかかわってきました。日本や中国では、全草や根を乾燥させて、龍牙草(リュウガソウ)や仙鶴草(センカクソウ)などの名称で生薬として利用されてきました。
煎じたものは、下痢止めやうがい薬にしたり、湿疹やかぶれの冷湿布として使われてきました。また、若芽はおひたしや和え物、天ぷらなどの食用にされてきました。
ー キンミズヒキ(Agrimonia pilosa Ledeb.) ー
直立した茎は、高さは1m程になり、全体に荒い毛が生える。7~10月には長く伸びた花軸に黄色い小花を均等につける。

- 科 名:バラ科(名前が似ているミズヒキ(タデ科)とは異なる仲間)
- 生薬名:龍牙草(リュウガソウ)、仙鶴草(センカクソウ)
- 成 分:アグリモール類、タンニン、フラボノイド 他
- 分 布:日本、台湾、中国、朝鮮半島、インドシナ、ヒマラヤ他
・キンミズヒキに含まれる成分 「アグリモール類」に老化細胞除去機能を確認
食用に生薬にと、古くから日本人が口にしてきたキンミズヒキ。新たに老化細胞を除去する機能が確認されました。
キンミズヒキにも含まれる成分、アグリモール類であるアグリモールBの試薬を濃度を変えて細胞に添加し、老化細胞の割合の変化を測定したところ、老化細胞が除去されました。
また、アグリモールBが高濃度であるほど老化細胞の割合が減少することも明らかになりました。
ー アグリモールBによる老化細胞除去機能を確認 ー

- 概要:細胞を意図的に老化誘導させ、72時間後の老化細胞の割合を測定した。
- 結果:アグリモールBを添加しなかった細胞(老化誘導あり・添加なし)では老化細胞の割合が80%であったのに比べ、添加した細胞ではいずれも”添加なし”より低い割合であった。
- *この実験ではキンミズヒキ由来のアグリモールBではなく、試薬を使用
- 出典 : Watanabe T, et al. Food Bioscience.2024;59:103903.より改変
・キンミズヒキがもたらす老化対策への期待
近年の研究では、世界中で老化細胞を取り除く成分の特定が急がれています。
食経験のあるキンミズヒキに含まれる成分に、老化細胞除去機能が確認できたことは画期的です。老化対策として期待されています。