・NAD+の役割
- 1.エネルギー代謝の
サポート - 私たちの体は、食べ物の中の糖や脂肪を分解し、「ATP」というエネルギー分子をつくって活動しています。このときNAD+は電子を受け渡す“仲介役”として働き、効率的にエネルギーを生み出すために欠かせない存在です。
- 2.老化や細胞修復の
調整 - NAD+は、細胞の修復やDNAの修復に関わる酵素を活性化します。これらの酵素はDNAの傷を修復したり、細胞の寿命を調整したりするため、NAD+は“細胞を若く保つ鍵”として注目されています。
- 3.抗酸化作用や
ストレス反応の調整 - 紫外線や炎症などによって細胞がストレスやダメージを受けた時にNAD+は活躍します。体の防御システムを調整し、健康を保つために働いています(※1)。
・NAD+と加齢の関係
1.NAD+の消費量が増える
加齢によりDNAの傷や炎症が増えると、次のような酵素が頻繁に働くようになります(※2)。
- ●PARP(DNA修復酵素):働くたびに大量のNAD+を消費します。
- ●CD38(免疫細胞にある酵素):NAD+を直接分解します。炎症や免疫の活性化により増えることが知られています。さらに最近の研究では、
「老化細胞」が分泌するSASP(炎症性因子)が、CD38の増加を促すことも明らかになっています(※3)。
2.NAD+をリサイクルする仕組みの低下
一度使ったNAD+をリサイクルする酵素の働きが、年齢とともに衰えてきます。その結果、NAD+の再利用がうまくいかず、体内のNAD+量がじわじわ減っていきます(※1)。
・NMNがもたらす老化対策への期待
NMNは、体の中で「NAD+」をつくるための“材料”となる成分です。NMNを補うことでNAD+の量を回復させ、年齢とともに起こる体の変化を緩やかにする可能性が研究で注目されています。ただし、NMNはあくまで「NAD+の原料のひとつ」にすぎません。体内でNAD+を効率よく活用・維持するには、日常生活の工夫も欠かせません。
例えば、このような生活週間は、NMNの効果をさらに引き出す助けになります。
- 質の良い睡眠
- 夜間にNAD+の再生が活発化
- 定期的な運動
- ミトコンドリア*1の働きを高める
- 抗酸化成分の摂取
- NAD+の無駄な消費を抑える
- 過食を避ける
- サーチュイン遺伝子*2の活性化
- *1 ミトコンドリア…細胞の中でエネルギー(ATP)をつくる器官。加齢で機能が低下しやすい。
- *2 サーチュイン遺伝子…細胞の修復や老化の抑制、エネルギー代謝の調整などに関与しており、「長寿遺伝子」と呼ばれることもあります。
- ※1 出典:Nat Rev Mol Cell Biol. 2021;22(2):119-141.
- ※2 出典:Biochem Biophys Res Commun. 2019;513(2):486–493.
- ※3 出典:Nat Metab. 2020;2(11):1265–1283.
